高年齢介護助手が就労によって感じるメリットと情緒的消耗感との関連:横断研究
目的 本研究の目的は,高年齢介護助手が就労によって感じるメリットのパターンを明らかにすること,そして,バーンアウトの下位尺度の一つである情緒的消耗感とメリットのパターンの関連を検討することである。方法 2020年に全国老人保健施設協会が介護老人保健施設を対象に実施した調査データを用いた。調査では,高年齢介護助手を60歳以上の者と定義した。最終的に,高年齢介護助手を雇用する599施設の1,606人の高年齢介護助手から回答を得た。目的変数は,日本版バーンアウト尺度の情緒的消耗感の5項目を用いた。説明変数は,介護助手の仕事で得たメリット7項目(①社会貢献することができている,②社会とのつながりを得ら...
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Published in | 日本公衆衛生雑誌 Vol. 70; no. 7; pp. 425 - 432 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本公衆衛生学会
15.07.2023
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Subjects | |
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Summary: | 目的 本研究の目的は,高年齢介護助手が就労によって感じるメリットのパターンを明らかにすること,そして,バーンアウトの下位尺度の一つである情緒的消耗感とメリットのパターンの関連を検討することである。方法 2020年に全国老人保健施設協会が介護老人保健施設を対象に実施した調査データを用いた。調査では,高年齢介護助手を60歳以上の者と定義した。最終的に,高年齢介護助手を雇用する599施設の1,606人の高年齢介護助手から回答を得た。目的変数は,日本版バーンアウト尺度の情緒的消耗感の5項目を用いた。説明変数は,介護助手の仕事で得たメリット7項目(①社会貢献することができている,②社会とのつながりを得られている,③生きがいを得られている,④期待していた収入を得られている,⑤介護について学ぶことができている,⑥自分の健康の維持・増進に繋がっている,⑦時間を有効に使うことができている)とした。分析には,潜在クラス分析と重回帰分析を用いた。欠損値は多重代入法により補完した。結果 全項目に無回答であった5人を除外した1,601人を解析対象とした。潜在クラス分析の結果,4つのメリットのパターンが同定された:すべてのメリットを感じている「メリット充足型」,ほとんどメリットを感じていない 「メリット未充足型」,社会貢献と社会とのつながりをメリットとして強く感じている「メリット外向型」,健康維持・増進と時間活用をメリットとして強く感じている「メリット内向型」。重回帰分析の結果,「メリット充足型」と比較して,「メリット外向型」と「メリット未充足型」で情緒的消耗感得点が高く(b=2.465, P<.001,および b=1.931, P<.001),「メリット内向型」との違いはみられなかった(b=0.050, P=.851)。結論 多様なメリットを感じていることと,健康維持・増進や時間活用という自分自身に目を向けたメリットを感じていることが,高年齢介護助手の情緒的消耗感の低さと関連していた。今後は介入研究によって,多様なメリットまたは内向的なメリットを得ることが情緒的消耗感を抑制するかどうかの検証が必要である。 |
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ISSN: | 0546-1766 2187-8986 |
DOI: | 10.11236/jph.22-111 |