都市住民における非特異的ストレス指標K6の悪化予測因子の探索:神戸研究

目的 非特異的なストレス指標であるThe Kessler 6-Item Psychological Distress Scale(K6)スコアの将来的な悪化を予測できる健康関連要因を探索する。方法 がんや循環器疾患の既往歴がなく,高血圧,糖尿病,脂質異常症の治療中でない,健康な都市住民を対象としたコホート研究であるKobe Orthopedic and Biomedical Epidemiological study(KOBE study)のベースライン調査(2010~2011年度)に参加した1,117人にK6日本語版による質問紙調査を実施した。本研究ではK6≧5点をストレスあり群,K6<...

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Published in日本公衆衛生雑誌 Vol. 67; no. 8; pp. 509 - 517
Main Authors 田谷, 元, 桑原, 和代, 東山, 綾, 杉山, 大典, 平田, あや, 佐田, みずき, 平田, 匠, 西田, 陽子, 久保, 佐智美, 久保田, 芳美, 門田, 文, 宮松, 直美, 西村, 邦宏, 宮本, 恵宏, 岡村, 智教
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本公衆衛生学会 15.08.2020
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Summary:目的 非特異的なストレス指標であるThe Kessler 6-Item Psychological Distress Scale(K6)スコアの将来的な悪化を予測できる健康関連要因を探索する。方法 がんや循環器疾患の既往歴がなく,高血圧,糖尿病,脂質異常症の治療中でない,健康な都市住民を対象としたコホート研究であるKobe Orthopedic and Biomedical Epidemiological study(KOBE study)のベースライン調査(2010~2011年度)に参加した1,117人にK6日本語版による質問紙調査を実施した。本研究ではK6≧5点をストレスあり群,K6<5点をストレス群と定義した。4年後の追跡調査が2014~2015年度に実施され,1,004人が参加した(追跡率90%)。欠損値がある39人,ベースライン調査時にK6≧5点であった185人を除く780人を本研究の解析対象とした。K6スコアのほかに性別,年齢,家族状況(単身/同居),運動・レクリエーションによる身体活動量,平均睡眠時間,screening version of the Hearing Handicap Inventory for Elderly(HHIE-S)日本語版,Oswestry Disability Index(ODI)日本語版を調査項目とした。4年後追跡調査時のK6≧5点を従属変数,ベースライン調査時の各因子を独立変数としたロジスティック回帰分析を行った。結果 解析対象者780人のうち,4年後追跡調査時にストレスあり(K6≧5点)となったのは132人(16.9%)であった。ロジスティック回帰分析の結果,年代(40歳代/70歳代)(オッズ比3.38, 95%信頼区間1.45-7.86),家族状況(単身/同居)(オッズ比1.98, 95%信頼区間1.07-3.68),ODIスコア(1%)(オッズ比1.05, 95%信頼区間1.01-1.09)の項目でストレスと有意な関連が見られた。結論 年齢,家族状況,腰痛・関節痛による機能障害の程度が将来的なストレスに関連していることが示唆された。
ISSN:0546-1766
2187-8986
DOI:10.11236/jph.67.8_509