スルメイカ筋肉の物性変化に対する凍結解凍操作の影響

スルメイカ (Todarodes pacificus) の外套膜を-18℃で貯蔵し, (1) 凍結前, (2) 1日凍結, (3) 7日凍結, (4) 30日凍結の筋肉について, 解凍後の物性, 構造タンパク質, および組織構造を比較・検討した.破断強度は, 凍結期間の延長に伴い低下した.しかし, 凍結1日の筋肉においては, 表面的な硬化が認められた.フリードリップ量は凍結期間の延長に伴って増加し, そこに含まれるタンパク質量も増加した.さらに, 光学顕微鏡観察においては凍結期間の延長により筋組織内に空隙が増加する様子が認められた.一方, 水溶性および不溶性タンパク質量は変化が認められず, そ...

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Published in日本家政学会誌 Vol. 53; no. 12; pp. 1177 - 1184
Main Authors 安藤, 真美, 三好, 正満
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 一般社団法人 日本家政学会 2002
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Summary:スルメイカ (Todarodes pacificus) の外套膜を-18℃で貯蔵し, (1) 凍結前, (2) 1日凍結, (3) 7日凍結, (4) 30日凍結の筋肉について, 解凍後の物性, 構造タンパク質, および組織構造を比較・検討した.破断強度は, 凍結期間の延長に伴い低下した.しかし, 凍結1日の筋肉においては, 表面的な硬化が認められた.フリードリップ量は凍結期間の延長に伴って増加し, そこに含まれるタンパク質量も増加した.さらに, 光学顕微鏡観察においては凍結期間の延長により筋組織内に空隙が増加する様子が認められた.一方, 水溶性および不溶性タンパク質量は変化が認められず, その組成にも変化がなかった.以上の結果より, 耐凍性が大きいとされるスルメイカ筋肉においても, 凍結処理が軟化現象を引き起こすことが明らかとなった.
ISSN:0913-5227
1882-0352
DOI:10.11428/jhej1987.53.1177