近年流行したウイルス感染症の診断と感染対策

2023年5月新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が感染症法の5類感染症に変更され,人流の活発化に伴い,様々なウイルス感染症の流行が認められた.インフルエンザは2023年,インフルエンザA/H3主体の流行が認められた.以前は冬季に多かったRSウイルス(RSV)感染症は,現在,春から夏にかけて流行が認められる.RSV感染症の感染防止対策としては,標準予防策に加え,接触と飛沫感染予防策が必要である.ヒトメタニューモウイルス(hMPV)も,2023年,国内で5月初旬からRSVと同時流行した.hMPVは,高齢者施設,精神科病院,福祉施設などで集団感染事例が認められる.手足口病も比較的大きな流行...

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Published inJapanese Journal of Infection Prevention and Control Vol. 39; no. 5; pp. 191 - 195
Main Author 石和田, 稔彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本環境感染学会 25.09.2024
Japanese Society for Infection Prevention and Control
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Summary:2023年5月新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が感染症法の5類感染症に変更され,人流の活発化に伴い,様々なウイルス感染症の流行が認められた.インフルエンザは2023年,インフルエンザA/H3主体の流行が認められた.以前は冬季に多かったRSウイルス(RSV)感染症は,現在,春から夏にかけて流行が認められる.RSV感染症の感染防止対策としては,標準予防策に加え,接触と飛沫感染予防策が必要である.ヒトメタニューモウイルス(hMPV)も,2023年,国内で5月初旬からRSVと同時流行した.hMPVは,高齢者施設,精神科病院,福祉施設などで集団感染事例が認められる.手足口病も比較的大きな流行が起きている.2023年はエンテロウイルス71が多く,コクサッキーウイルスA6,A10,A16なども検出されている.ヘルパンギーナは発熱と口腔粘膜の水疱性発疹を特徴とした急性のウイルス性咽頭炎であり,乳幼児を中心に夏季に流行する.2023年は5月に入り急激な患者数の増加が認められた.手足口病とヘルパンギーナの感染拡大防止策としては飛沫感染,接触感染予防策が推奨される.COVID-19パンデミックで麻しんワクチン接種率が世界的に低下した影響もあり,世界各地で麻疹の流行が起きている.2023年,2024年共に国内でも海外からの麻疹症例が認められている.麻疹の感染対策には空気感染予防策が必要となる.
ISSN:1882-532X
1883-2407
DOI:10.4058/jsei.39.191