出血性ショックをていしTAEを試行した2歳児骨盤骨折の1例

症例は2歳男児. 徐行中の乗用車にrun overされて受傷した. 造影CTでは不安定型骨盤骨折を認めたが, 明らかなextravasationは認めなかった. 初期輸液にもかかわらず臨床的に出血性ショック状態をていしたため, 緊急でtranscatheter arterial embolization (TAE) を施行した. 止血術によってバイタルサインの安定化と貧血の進行が是正された. 小児骨盤外傷のうち, TAEや手術を必要とする重症例は極めてまれであるものの, 成人に比べて出血に対する余力がなく, 活動性出血が循環動態に与える影響は大きい. そのため, 小児特有の生理学的所見も重要視...

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Published inJournal of the Japanese Association for the Surgery of Trauma Vol. 33; no. 1; pp. 10 - 13
Main Authors 楠田, 司, 浦城, 淳二, 佐藤, 啓太, 田村, 佳久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本外傷学会 20.01.2019
The Japanese Association for the Surgery of Trauma
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ISSN1340-6264
2188-0190
DOI10.11382/jjast.33.10

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Summary:症例は2歳男児. 徐行中の乗用車にrun overされて受傷した. 造影CTでは不安定型骨盤骨折を認めたが, 明らかなextravasationは認めなかった. 初期輸液にもかかわらず臨床的に出血性ショック状態をていしたため, 緊急でtranscatheter arterial embolization (TAE) を施行した. 止血術によってバイタルサインの安定化と貧血の進行が是正された. 小児骨盤外傷のうち, TAEや手術を必要とする重症例は極めてまれであるものの, 成人に比べて出血に対する余力がなく, 活動性出血が循環動態に与える影響は大きい. そのため, 小児特有の生理学的所見も重要視し, 循環不全の兆候を認識した際には躊躇なく止血処置を行う必要がある.
ISSN:1340-6264
2188-0190
DOI:10.11382/jjast.33.10