大腿骨近位部骨折に対するIT連携パスの評価(6年間の利用状況と運用実績)

大腿骨近位部骨折に対する地域医療連携において,インターネットを活用した地域連携パス(IT連携パス)の運用実績について検討した.2004年4月から2009年12月までに,地域医療ネットワークに参加している急性期3病院と回復期11施設間で治療を受け,IT連携パスに登録された大腿骨近位部骨折患者870例を対象として,IT連携パスの施設別入力状況,および術後在院日数と入院医療費の経年変化を評価した.データの入力率は2006年まで100%であったが,2007年から約70%に低下し,登録症例数の少ない施設の入力率が低かった.術後在院日数は2004年から2006年までに平均28日短縮し,その後3年間の平均在...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inJapan Journal of Medical Informatics Vol. 32; no. 3; pp. 103 - 109
Main Authors 宇宿, 功市郎, 廣瀬, 隼, 水田, 博志, 瀬形, 建喜, 堤, 康次郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本医療情報学会 2012
Japan Association for Medical Informatics
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0289-8055
2188-8469
DOI10.14948/jami.32.103

Cover

More Information
Summary:大腿骨近位部骨折に対する地域医療連携において,インターネットを活用した地域連携パス(IT連携パス)の運用実績について検討した.2004年4月から2009年12月までに,地域医療ネットワークに参加している急性期3病院と回復期11施設間で治療を受け,IT連携パスに登録された大腿骨近位部骨折患者870例を対象として,IT連携パスの施設別入力状況,および術後在院日数と入院医療費の経年変化を評価した.データの入力率は2006年まで100%であったが,2007年から約70%に低下し,登録症例数の少ない施設の入力率が低かった.術後在院日数は2004年から2006年までに平均28日短縮し,その後3年間の平均在院日数は約90日で推移した.平均医療費は当初の3年間で51万円減少した.入院医療費を在院日数で除した入院単価は経年的に向上した.IT連携パスを6年間運用し,術後在院日数の短縮と入院単価の上昇がみられたが,データの入力状況が低下傾向にあることが確認され,問題点を修正した新たな入力システムへの移行を進めている.
ISSN:0289-8055
2188-8469
DOI:10.14948/jami.32.103