ドリコール中間体生合成に関与するヒト糖転移酵素間の物理的相互作用

真核細胞が有する糖タンパク質において、N-グリカン(N-結合型糖鎖)は、構造と機能の両面に関して重要な役割を果たしている。N-グリカンの前駆体は、粗面小胞体(rER)膜上において、ドリコールピロリン酸に結合した14糖からなるドリコール中間体(DLO)として生合成されている。完全長のDLO(Glc3Man9GlcNAc2-PP-ドリコール)の完成には、rER膜に局在する少なくとも11種類の糖転移酵素の活性が必要不可欠である。これらの酵素に関する12種類のヒト遺伝子は既に同定されてはいるものの、酵素間の物理的相互作用は、未だに体系的に解析されてはいない。そこで本稿では、これら酵素間における幾つかの...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inTrends in Glycoscience and Glycotechnology Vol. 24; no. 136; pp. 65 - 77
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published FCCA(Forum: Carbohydrates Coming of Age) 01.01.2012
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:真核細胞が有する糖タンパク質において、N-グリカン(N-結合型糖鎖)は、構造と機能の両面に関して重要な役割を果たしている。N-グリカンの前駆体は、粗面小胞体(rER)膜上において、ドリコールピロリン酸に結合した14糖からなるドリコール中間体(DLO)として生合成されている。完全長のDLO(Glc3Man9GlcNAc2-PP-ドリコール)の完成には、rER膜に局在する少なくとも11種類の糖転移酵素の活性が必要不可欠である。これらの酵素に関する12種類のヒト遺伝子は既に同定されてはいるものの、酵素間の物理的相互作用は、未だに体系的に解析されてはいない。そこで本稿では、これら酵素間における幾つかの物理的相互作用を述べる。それらは酵母split-ubiquitinシステムを用いることにより明らかにされたものである。さらに、この技法により得られた観察結果に基づくと、ヒト糖転移酵素間のネットワーク形成に関する新たなモデルが提案可能である。
ISSN:0915-7352
1883-2113
DOI:10.4052/tigg.24.65