右下肢痛で発症した絞扼性腸閉塞の1例

症例は39歳,女性.3年前に子宮頸癌に対して,広汎子宮全摘術および骨盤リンパ節郭清術,骨盤部放射線治療を施行された.突然の右下肢痛を主訴に当院救急外来を受診し,腹部造影CTで回腸にclosed loopがあり,絞扼性腸閉塞を疑った.腹部症状は乏しく非典型的であったが,手術既往を考慮し緊急手術を施行した.術中所見は,前回の手術で遊離された右外腸骨血管と右内腸骨血管の間に回腸が入り込んでいた.発症早期に整復できたため腸管切除は実施しなかった.術直後から右下肢痛は消失し,術後8日目に退院した.骨盤リンパ節郭清術後の絞扼性腸閉塞の症例は少数報告されているが,腹部症状が主訴であった.本症例の右下肢痛は拡...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 82; no. 7; pp. 1354 - 1358
Main Authors 宅間, 敬晃, 安宅, 亮, 池野, 嘉信, 多賀, 亮, 廣瀬, 哲朗, 土井, 隆一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2021
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Summary:症例は39歳,女性.3年前に子宮頸癌に対して,広汎子宮全摘術および骨盤リンパ節郭清術,骨盤部放射線治療を施行された.突然の右下肢痛を主訴に当院救急外来を受診し,腹部造影CTで回腸にclosed loopがあり,絞扼性腸閉塞を疑った.腹部症状は乏しく非典型的であったが,手術既往を考慮し緊急手術を施行した.術中所見は,前回の手術で遊離された右外腸骨血管と右内腸骨血管の間に回腸が入り込んでいた.発症早期に整復できたため腸管切除は実施しなかった.術直後から右下肢痛は消失し,術後8日目に退院した.骨盤リンパ節郭清術後の絞扼性腸閉塞の症例は少数報告されているが,腹部症状が主訴であった.本症例の右下肢痛は拡張腸管による閉鎖神経の圧排が原因と考えられた.骨盤内リンパ節郭清術後の絞扼性腸閉塞においては,本症例のように下肢痛という非典型的な主訴で発症があることも念頭に置き,診察にあたる必要がある.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.82.1354