若年性皮膚筋炎 ―間質性肺疾患および成人皮膚筋炎との違いを中心に

皮膚筋炎(DM)は特徴的皮疹と近位筋優位の筋力低下を特徴とする自己免疫疾患である.若年性皮膚筋炎(JDM)は16才未満で発症するDMであり,症状や病態において成人DMと多くの共通点を持ちながら,血管障害が強く潰瘍性病変が多い,石灰化を残しやすい,間質性肺炎や悪性腫瘍が少なく,生命予後が成人に比較して良いなどの違いが見られる.JDMにおいては抗ARS抗体陽性例はまれである.また抗TIF1抗体はしばしばJDMで陽性となるが悪性疾患とは関連しないなど,自己抗体のプロファイルや臨床的意義にも成人DMとの違いが見られる.成人では抗MDA5抗体が急速進行性間質性肺炎(RP-ILD)および臨床的非筋症性DM...

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Published in臨床リウマチ Vol. 27; no. 3; pp. 163 - 170
Main Author 小林, 一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床リウマチ学会 2015
The Japanese Society for Clinical Rheumatology and Related Research
Subjects
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ISSN0914-8760
2189-0595
DOI10.14961/cra.27.163

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Summary:皮膚筋炎(DM)は特徴的皮疹と近位筋優位の筋力低下を特徴とする自己免疫疾患である.若年性皮膚筋炎(JDM)は16才未満で発症するDMであり,症状や病態において成人DMと多くの共通点を持ちながら,血管障害が強く潰瘍性病変が多い,石灰化を残しやすい,間質性肺炎や悪性腫瘍が少なく,生命予後が成人に比較して良いなどの違いが見られる.JDMにおいては抗ARS抗体陽性例はまれである.また抗TIF1抗体はしばしばJDMで陽性となるが悪性疾患とは関連しないなど,自己抗体のプロファイルや臨床的意義にも成人DMとの違いが見られる.成人では抗MDA5抗体が急速進行性間質性肺炎(RP-ILD)および臨床的非筋症性DM(CADM)と関連することが知られている.RP-ILDはJDMにおいても予後を決定することから,全国共同研究で症例を蓄積し,その臨床像や自己抗体・サイトカインを検討した.その結果,JDMにおいて抗MDA5抗体陽性はILDと関連するがCADMとは関連せず,抗体価高値例はRP-ILDを合併していること,RP-ILD合併例では血清IL-18やフェリチン高値をとり,IL-18値とKL-6値が相関することなどを見いだした.一方,本抗体とRP-ILDの関連は白人では認められず,人種による違いが示唆された.
ISSN:0914-8760
2189-0595
DOI:10.14961/cra.27.163