近赤外分光法を用いた光学式尿成分分析システムの開発 ―尿中成分のクレアチニン比推定の試み

これまで我々は光学式尿成分分析装置の開発を最終目標として基礎的検討を行ってきた.昨年度の本学会では市販で入手可能な近赤外LED:10波長の差分吸光度データを使用した総当たり解析により,尿中4成分(グルコース,尿素,NaCl及びクレアチニン)の濃度推定のための至適波長およびその組み合わせの選定について報告した.一方,近年患者の近傍で計測を行うPoint-of-care testing(POCT)が注目されており,上記尿中成分からは生活習慣病予防等に有用な次の指標が推定可能である.すなわちタンパク摂取量を反映するとされている尿素・クレアチニン比(UCR)及び塩分摂取量を反映するとされているNaCl...

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Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual57; no. Abstract; p. S160_2
Main Authors 山越, 憲一, 鶴田, 貴大, 畑中, 由佳, 小川, 充洋, 野川, 雅道, 高田, 重男, 鈴木, 郁斗, 内藤, 尚, 五十嵐, 朗, 田中, 志信, 清野, 公宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2019
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual57.S160_2

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Summary:これまで我々は光学式尿成分分析装置の開発を最終目標として基礎的検討を行ってきた.昨年度の本学会では市販で入手可能な近赤外LED:10波長の差分吸光度データを使用した総当たり解析により,尿中4成分(グルコース,尿素,NaCl及びクレアチニン)の濃度推定のための至適波長およびその組み合わせの選定について報告した.一方,近年患者の近傍で計測を行うPoint-of-care testing(POCT)が注目されており,上記尿中成分からは生活習慣病予防等に有用な次の指標が推定可能である.すなわちタンパク摂取量を反映するとされている尿素・クレアチニン比(UCR)及び塩分摂取量を反映するとされているNaCl・クレアチニン比(NCR)である.そこで今回は本法のPOCTへの適用可能性を検討するため,随時尿中のUCR及びNCRの推定を試みた.具体的には本法により得た各成分の濃度から算出したUCR値及びNCR値と,臨床検査の結果から得た各値との間の相関分析を行った.その結果,UCR及びNCRの推定精度はそれぞれ標準予測誤差が6.862,4.590,相関係数は0.406,0.590となり,更なる測定精度向上は必要であるものの,どちらも正の相関が得られ,POCTとして適用可能と考えられた.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual57.S160_2