寛骨臼回転骨切り術における自己フィブリン糊の有用性についての検討

整形外科手術において,骨切り術における骨からの出血は止血困難であり,多くの場合で輸血を必要とする.当科では同種血輸血の回避のために自己血採血を1988年より開始しており,1999年から自己フィブリン糊を精製,手術時に使用している.今回,自己フィブリン糊の骨切り術における有用性を,当科の寛骨臼回転骨切り術症例を比較統計することにより検討した.自己フィブリン糊の使用群,不使用群それぞれ30例ずつランダム抽出し,出血に関して比較統計したが,術中および術後出血量,血球成分の増減に関しては,有意差は認めなかった.自己フィブリン糊には止血以外に,骨片の固定,創傷治癒の促進など,他の要素も期待されている.骨...

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Published in昭和医学会雑誌 Vol. 69; no. 3; pp. 285 - 290
Main Authors 中村, 正則, 宮岡, 英世, 片桐, 聡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学学士会 28.06.2009
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ISSN0037-4342
2185-0976
DOI10.14930/jsma.69.285

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Summary:整形外科手術において,骨切り術における骨からの出血は止血困難であり,多くの場合で輸血を必要とする.当科では同種血輸血の回避のために自己血採血を1988年より開始しており,1999年から自己フィブリン糊を精製,手術時に使用している.今回,自己フィブリン糊の骨切り術における有用性を,当科の寛骨臼回転骨切り術症例を比較統計することにより検討した.自己フィブリン糊の使用群,不使用群それぞれ30例ずつランダム抽出し,出血に関して比較統計したが,術中および術後出血量,血球成分の増減に関しては,有意差は認めなかった.自己フィブリン糊には止血以外に,骨片の固定,創傷治癒の促進など,他の要素も期待されている.骨切り術における自己フィブリン糊について,その他の因子についても評価,検討すると共に,適切な使用法を再検討する必要があると思われる.
ISSN:0037-4342
2185-0976
DOI:10.14930/jsma.69.285