一般病棟入院後に肺結核症と判明した症例,および接触者検診の検討 肺結核診断の遅れの検討

〔目的と方法〕一般病棟に入院後,肺結核症と診断された患者16例の臨床的特徴と,接触した医療従事者,患者に対してクォンティフェロン(QFT)検査を用いた接触者検診による検討を行った。〔結果〕初回治療例に比較して再治療例で受診の遅れ,診断の遅れがみられた。初回の抗酸菌検査で結核菌が検出されたのは9例で,残り7例は2回目以降に結核菌が検出された。また16例中3例は初回の抗酸菌検査で非結核性抗酸菌が検出された。肺結核患者は,喀痰塗抹陽性培養陽性が8例,喀痰塗抹陰性培養陽性7例,ともに陰性が1例であった。初診から肺結核と診断されるまでに平均17.0日要した。接触者検診では,感染危険度指数重要,その他では...

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Published in結核 Vol. 88; no. 7; pp. 605 - 609
Main Authors 奥村, 昌夫, 佐藤, 厚子, 吉山, 崇, 野内, 英樹, 佐々木, 結花, 工藤, 翔二, 尾形, 英雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本結核病学会 15.07.2013
日本結核病学会
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Summary:〔目的と方法〕一般病棟に入院後,肺結核症と診断された患者16例の臨床的特徴と,接触した医療従事者,患者に対してクォンティフェロン(QFT)検査を用いた接触者検診による検討を行った。〔結果〕初回治療例に比較して再治療例で受診の遅れ,診断の遅れがみられた。初回の抗酸菌検査で結核菌が検出されたのは9例で,残り7例は2回目以降に結核菌が検出された。また16例中3例は初回の抗酸菌検査で非結核性抗酸菌が検出された。肺結核患者は,喀痰塗抹陽性培養陽性が8例,喀痰塗抹陰性培養陽性7例,ともに陰性が1例であった。初診から肺結核と診断されるまでに平均17.0日要した。接触者検診では,感染危険度指数重要,その他では感染者はみられなかった。しかし,最重要症例2例中1例に対して職員の感染者が2例みられた。〔結論〕初診時,画像上空洞所見を伴わないと細菌性肺炎として,結核の既往がある場合陳旧性結核,肺アスペルギルス症と診断され,結核の診断が遅れる原因となった。また,初回の抗酸菌塗抹検査が陰性,あるいは非結核性抗酸菌が検出されると,診断の遅れの原因となると思われた。そのため症状が持続する場合,繰り返し喀痰抗酸菌検査を施行する必要があると思われた。
ISSN:0022-9776
1884-2410
DOI:10.11400/kekkaku.88.605