腹腔鏡下に切除した横隔膜上食道憩室の1例

症例は67歳,男性.2019年3月に呑酸,体重減少を主訴に近医を受診し,精査目的で当院紹介となった.上部内視鏡検査で切歯から40cmの食道右側に憩室を認めた.食道造影検査において横隔膜上で5cm大の憩室内に造影剤が停滞し,憩室が通過障害の原因と考えられた.有症状の横隔膜上食道憩室の診断で,腹腔鏡下食道憩室切除術を施行した.術中に内視鏡検査を行い,憩室は切歯から40~45cmの食道右側に突出し,胃食道接合部との距離は2cmであった.憩室の遺残や内腔の狭窄をきたさないように内視鏡で確認しながら,自動縫合器で憩室を切除した.術後経過は良好で,術後12日目に退院した.横隔膜上食道憩室は比較的まれな疾患...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 82; no. 7; pp. 1321 - 1326
Main Authors 東本, 郁, 鈴木, 温, 臼田, 昌広, 手島, 仁, 宮田, 剛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2021
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Summary:症例は67歳,男性.2019年3月に呑酸,体重減少を主訴に近医を受診し,精査目的で当院紹介となった.上部内視鏡検査で切歯から40cmの食道右側に憩室を認めた.食道造影検査において横隔膜上で5cm大の憩室内に造影剤が停滞し,憩室が通過障害の原因と考えられた.有症状の横隔膜上食道憩室の診断で,腹腔鏡下食道憩室切除術を施行した.術中に内視鏡検査を行い,憩室は切歯から40~45cmの食道右側に突出し,胃食道接合部との距離は2cmであった.憩室の遺残や内腔の狭窄をきたさないように内視鏡で確認しながら,自動縫合器で憩室を切除した.術後経過は良好で,術後12日目に退院した.横隔膜上食道憩室は比較的まれな疾患である.術式については一定の見解が得られておらず,アプローチ法として腹腔鏡下手術の報告は少ない.食道胃接合部からの距離が近い横隔膜上食道憩室において,腹腔鏡下食道憩室切除術は安全,低侵襲に施行できる有用な術式と思われる.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.82.1321