変形性股関節症患者における歩行周期時間変動と歩容異常との関係
健常者の歩行リズムはわずかに変動しており,高齢者や中枢神経系に異常のある疾患患者では,変動が大きくなることが報告されている.しかし,運動器疾患ではこのような検討はなされていない.本研究では片側性の変形性股関節症(hip OA)患者における立脚期時間の変動係数(coefficient of variance, CV)を測定・評価し,臨床指標との関係を検討した.その結果,健常者との比較では健側の変動に有意な差は認められなかったが(健側CV 2.7±1.9 vs 健常CV 2.8±1.8, p=0.836),患側の変動は健側より有意に大きかった(患側CV 3.3±1.7, p=0.028).また患側...
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Published in | バイオメカニズム学会誌 Vol. 30; no. 4; pp. 211 - 215 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
バイオメカニズム学会
2006
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Subjects | |
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ISSN | 0285-0885 |
DOI | 10.3951/sobim.30.211 |
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Summary: | 健常者の歩行リズムはわずかに変動しており,高齢者や中枢神経系に異常のある疾患患者では,変動が大きくなることが報告されている.しかし,運動器疾患ではこのような検討はなされていない.本研究では片側性の変形性股関節症(hip OA)患者における立脚期時間の変動係数(coefficient of variance, CV)を測定・評価し,臨床指標との関係を検討した.その結果,健常者との比較では健側の変動に有意な差は認められなかったが(健側CV 2.7±1.9 vs 健常CV 2.8±1.8, p=0.836),患側の変動は健側より有意に大きかった(患側CV 3.3±1.7, p=0.028).また患側のCVは歩容異常の指標となる体幹動揺と有意な負の相関関係にあり(r=-0.371, p=0.001),歩容の悪化に伴い変動も減少することが示唆された.このことから,hip OA患者は罹患部位の代償を行うために歩行動作をパターン化し,一定にすることで,動作の困難さを軽減しているのではないかと考えられた. |
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ISSN: | 0285-0885 |
DOI: | 10.3951/sobim.30.211 |