地域ケア会議を通じた地域包括ケア推進における歯科医療・口腔保健と保健師の役割

高齢者が住み慣れた地域で,できる限りその人らしい生活を健やかに継続するために,個々の高齢者の状況や変化に応じた適切な保健医療福祉サービスや,多様な支援が求められ,そのための仕組みである地域包括ケアシステムの構築・推進が進められている.  従来の病院完結型の医療から,地域で支える地域完結型医療・介護へのパラダイムシフトが急務となり,歯科口腔保健・歯科医療(以下「歯科保健」)においても,地域において多様な専門職が連携・協力することが期待されている. そうした中,連携・協働を軸とした地域包括ケア実現のカギとして,介護保険法の改正に伴い,地域ケア会議を設置することが市町村の努力義務となった.構成員には...

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Published in保健医療科学 Vol. 65; no. 4; pp. 385 - 393
Main Author 村中, 峯子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 国立保健医療科学院 2016
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ISSN1347-6459
2432-0722
DOI10.20683/jniph.65.4_385

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Summary:高齢者が住み慣れた地域で,できる限りその人らしい生活を健やかに継続するために,個々の高齢者の状況や変化に応じた適切な保健医療福祉サービスや,多様な支援が求められ,そのための仕組みである地域包括ケアシステムの構築・推進が進められている.  従来の病院完結型の医療から,地域で支える地域完結型医療・介護へのパラダイムシフトが急務となり,歯科口腔保健・歯科医療(以下「歯科保健」)においても,地域において多様な専門職が連携・協力することが期待されている. そうした中,連携・協働を軸とした地域包括ケア実現のカギとして,介護保険法の改正に伴い,地域ケア会議を設置することが市町村の努力義務となった.構成員には歯科医師,歯科衛生士も例示されているが,地域ケア会議への歯科保健従事者の参加が十分得られているとは言い難い現状にとどまっている.  歯科保健従事者と,地域における関係多職種の連携の促進が急務であり,その連携の要として保健師に期待される役割は大きい.保健師は従来から,乳幼児健診等や介護予防事業の口腔ケア事業において,歯科保健従事者と顔の見える関係を築いている.保健師は行政にいる医療専門職として「口腔ケア」の重要性を認識し,歯科保健従事者が在宅歯科診療や地域における歯科医療・口腔保健活動を効果的に展開するにあたり行政側の担当者として関わってきている.  本来,地域包括ケアは高齢者支援に留まらず障害児者等も含め,地域に住む人々すべてを対象としたまちづくりとして展開されることが必要である.保健師には,これまでの活動における協働の実績を元に,地域包括ケア推進においても,歯科保健従事者との連携の窓口・要となること,同時に歯科保健従事者には,保健師との連携を糸口に,まずは地域ケア会議に参加することから地域包括ケアシステム実現に向けた取組みに参画・展開されることが期待される.
ISSN:1347-6459
2432-0722
DOI:10.20683/jniph.65.4_385