学童期における子どもの食の課題と対策
学童期とは,小学校に通う 6 歳から12歳までを指す.この時期の子どもの食生活は,生命の維持のみならず,発育・発達の基礎になることから,成人以上に重要である.本稿では,我が国の学童期の子どもにおける主要な健康や栄養・食の課題と現在行われている対策をまとめた.体格の指標を通して,栄養状態を調べたところ,現代の子どもの体格は,全体でみると,40年前と比較し改善しているが,学年によって違いがみられ,高学年に近づくにつれ,肥満ややせ傾向が増加している.また,地域差もみられ,人口が少ない地域の方が肥満傾向の子どもが多い.栄養状態に関連する食習慣として,朝食欠食,栄養バランスの悪い食事の摂取,早食いなどが...
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Published in | 保健医療科学 Vol. 66; no. 6; pp. 574 - 581 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
国立保健医療科学院
01.12.2017
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Subjects | |
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ISSN | 1347-6459 2432-0722 |
DOI | 10.20683/jniph.66.6_574 |
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Summary: | 学童期とは,小学校に通う 6 歳から12歳までを指す.この時期の子どもの食生活は,生命の維持のみならず,発育・発達の基礎になることから,成人以上に重要である.本稿では,我が国の学童期の子どもにおける主要な健康や栄養・食の課題と現在行われている対策をまとめた.体格の指標を通して,栄養状態を調べたところ,現代の子どもの体格は,全体でみると,40年前と比較し改善しているが,学年によって違いがみられ,高学年に近づくにつれ,肥満ややせ傾向が増加している.また,地域差もみられ,人口が少ない地域の方が肥満傾向の子どもが多い.栄養状態に関連する食習慣として,朝食欠食,栄養バランスの悪い食事の摂取,早食いなどがあげられ,朝食欠食は,肥満だけではなく,体力や学力との関係も示されている.学校給食は,子どもの栄養状態の改善を解決するために実施された.学校給食の開始以降,子どもの体格は改善されており,その貢献は大きいといえる.文部科学省は,学校給食制度に加え,学校における食育を実施するための体制整備を2004年から始めた.栄養教諭制度はその一環として始まった.栄養教諭制度が始まり,すでに10年が経過し,現在では多くの学校で食育が実施されている.しかしながら,食育の成果がみられていないという指摘がされている.今後は,目に見える食育の評価が必要である.また,社会格差による子どもの栄養状態の悪化も懸念され,子ども食堂や学校給食費の無料化など,子どもの貧困対策も近年注目されている. 学童期の子どもの食の課題も個別化・複雑化し,学校に対する課題解決の期待も大きい.栄養教諭・学校栄養職員の専門性を発揮し,チーム学校としての食育が推進されることが期待される. |
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ISSN: | 1347-6459 2432-0722 |
DOI: | 10.20683/jniph.66.6_574 |