炎症を契機に術後13年目の腹壁転移が診断された子宮類内膜腺癌の1例

症例は79歳,女性.66歳時に子宮類内膜腺癌に対して手術,化学療法を行い,10年間のフォローで再発徴候を認めなかった.術後13年目に腹痛を主訴に近医を受診し,右下腹部腫瘤,炎症反応高値,腫瘍マーカー上昇を指摘され紹介となった.腹壁瘢痕ヘルニアの脇に発赤,圧痛を伴う腫瘤を触れ,CTで腹壁内に炎症所見を伴う75mm大の腫瘤を認めた.抗菌薬投与で腫瘤はやや縮小したが消失には至らなかった,経皮的生検を行うと子宮類内膜腺癌の再発が疑われ,他に転移を認めなかったため切除の方針とした.腹壁内の60mm大の腫瘍を切除し,病理で子宮類内膜腺癌の転移と診断された.子宮類内膜腺癌術後晩期の腹壁転移再発は稀であり,若...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 82; no. 6; pp. 1224 - 1227
Main Authors 冨永, 奈沙, 福岡, 伴樹, 杉原, 実, 岡野, 佳奈, 水野, 亮, 西, 鉄生, 西尾, 知子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2021
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Summary:症例は79歳,女性.66歳時に子宮類内膜腺癌に対して手術,化学療法を行い,10年間のフォローで再発徴候を認めなかった.術後13年目に腹痛を主訴に近医を受診し,右下腹部腫瘤,炎症反応高値,腫瘍マーカー上昇を指摘され紹介となった.腹壁瘢痕ヘルニアの脇に発赤,圧痛を伴う腫瘤を触れ,CTで腹壁内に炎症所見を伴う75mm大の腫瘤を認めた.抗菌薬投与で腫瘤はやや縮小したが消失には至らなかった,経皮的生検を行うと子宮類内膜腺癌の再発が疑われ,他に転移を認めなかったため切除の方針とした.腹壁内の60mm大の腫瘍を切除し,病理で子宮類内膜腺癌の転移と診断された.子宮類内膜腺癌術後晩期の腹壁転移再発は稀であり,若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.82.1224