重症頭部外傷における横静脈洞閉塞の検討

【目的】症候に乏しい静脈洞閉塞をCT-angiography (CTA) で診断した. 【方法】血管損傷を疑う重症頭部外傷51例で, CTAあるいは脳血管造影により左右いずれかの横静脈洞閉塞と診断した6症例の臨床所見を検討した. 【結果】来院時GCSは3~7, 交通事故5例, 転落1例, 全例に頭蓋骨骨折を認めたが, 必ずしも閉塞した横静脈洞に隣接する骨折線ではなかった. 一例に遅発性左不全片麻痺が出現し, MRIにて静脈の還流障害と診断した. 横静脈洞は自然再開通し症状も回復した. 【考察】横静脈洞閉塞は対側が開存していれば症候に乏しく看過されやすい. 重症頭部外傷においてCTAや血管造影に...

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Published inJournal of the Japanese Association for the Surgery of Trauma Vol. 33; no. 1; pp. 1 - 4
Main Authors 舘, 哲郎, 小島, 将裕, 岩佐, 信孝, 上尾, 光弘, 田中, 太助, 石田, 健一郎, 木下, 順弘, 藤中, 俊之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本外傷学会 20.01.2019
The Japanese Association for the Surgery of Trauma
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ISSN1340-6264
2188-0190
DOI10.11382/jjast.33.1

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Summary:【目的】症候に乏しい静脈洞閉塞をCT-angiography (CTA) で診断した. 【方法】血管損傷を疑う重症頭部外傷51例で, CTAあるいは脳血管造影により左右いずれかの横静脈洞閉塞と診断した6症例の臨床所見を検討した. 【結果】来院時GCSは3~7, 交通事故5例, 転落1例, 全例に頭蓋骨骨折を認めたが, 必ずしも閉塞した横静脈洞に隣接する骨折線ではなかった. 一例に遅発性左不全片麻痺が出現し, MRIにて静脈の還流障害と診断した. 横静脈洞は自然再開通し症状も回復した. 【考察】横静脈洞閉塞は対側が開存していれば症候に乏しく看過されやすい. 重症頭部外傷においてCTAや血管造影により静脈系を積極的に評価することにより診断することができた. 外傷後の静脈洞閉塞は脳圧亢進, 脳梗塞や遅発性出血につながる可能性があり注意すべき病態である.
ISSN:1340-6264
2188-0190
DOI:10.11382/jjast.33.1