HIV感染者に合併した食道静脈瘤治療例の検討

当院で経験したHIV感染者に合併する食道静脈瘤症例7例の臨床的検討を行った.3例がHCV,2例がHBVとの重複感染例であり,非B非Cが2例であった.HCCの合併は2例にみられた.F2以上,もしくはRC1以上の食道静脈瘤に対して内視鏡治療(硬化療法・結紮術)を行い,平均2.1回の内視鏡的治療で全例F1以下,RC0が得られた.観察期間中(平均30.4か月)に追加治療を4例に必要としたが,食道静脈瘤破裂を来した症例はなかった.治療後の平均生存期間は,HCV重複感染例では9か月,HCC合併例では13.5か月と予後不良であった.死因は肝不全3例,HCC1例,脳出血1例と肝関連死が多く,AIDS関連死はみ...

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Published inJapanese Journal of Portal Hypertension Vol. 19; no. 1; pp. 25 - 32
Main Authors 佐伯, 俊一, 今村, 潤, 林, 星舟, 星野, 崇, 木村, 公則
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本門脈圧亢進症学会 2013
The Japan Society for Portal Hypertension
Subjects
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ISSN1344-8447
2186-6376
DOI10.11423/jsph.19.25

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Summary:当院で経験したHIV感染者に合併する食道静脈瘤症例7例の臨床的検討を行った.3例がHCV,2例がHBVとの重複感染例であり,非B非Cが2例であった.HCCの合併は2例にみられた.F2以上,もしくはRC1以上の食道静脈瘤に対して内視鏡治療(硬化療法・結紮術)を行い,平均2.1回の内視鏡的治療で全例F1以下,RC0が得られた.観察期間中(平均30.4か月)に追加治療を4例に必要としたが,食道静脈瘤破裂を来した症例はなかった.治療後の平均生存期間は,HCV重複感染例では9か月,HCC合併例では13.5か月と予後不良であった.死因は肝不全3例,HCC1例,脳出血1例と肝関連死が多く,AIDS関連死はみられなかった.非B非C例には抗HIV薬の関連を疑う症例もみられた.HIV・HCV重複感染例では肝疾患の進行が速い症例があることや,抗HIV薬に起因する門脈圧亢進症が生じうることは認識する必要がある.
ISSN:1344-8447
2186-6376
DOI:10.11423/jsph.19.25