乳癌・原発性肺腺癌の同時性重複癌におけるPTHrP産生腫瘍の1例

症例は69歳,女性.全身倦怠感のために近医を受診し,高カルシウム血症および多発肝腫瘤を認め,精査加療目的に当院を紹介された.初診時血液検査で,Ca 16.9mg/dL,PTHrP 56.0pmol/Lと高値,PTH intact 9pg/mLと低値,CEA 1,305.1ng/mL,CA15-3 154.0U/mLと上昇していた.FDG-PET/CTでは,右乳腺,左肺上葉,多発肝腫瘍,腋窩および鎖骨上窩リンパ節,胸骨,L4椎体にFDG集積を認めた.生検を行い,右乳癌cStage IV(胸膜,肝,骨),原発性肺腺癌cStage IA3と診断した.骨破壊像はなく,病理組織学的検査では乳癌・肺癌とも...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 84; no. 8; pp. 1170 - 1176
Main Authors 昆, 智美, 中川, 紗紀, 王, 慧麗, 吉田, 龍一, 杉浦, 章, 谷内, 真司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2023
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Summary:症例は69歳,女性.全身倦怠感のために近医を受診し,高カルシウム血症および多発肝腫瘤を認め,精査加療目的に当院を紹介された.初診時血液検査で,Ca 16.9mg/dL,PTHrP 56.0pmol/Lと高値,PTH intact 9pg/mLと低値,CEA 1,305.1ng/mL,CA15-3 154.0U/mLと上昇していた.FDG-PET/CTでは,右乳腺,左肺上葉,多発肝腫瘍,腋窩および鎖骨上窩リンパ節,胸骨,L4椎体にFDG集積を認めた.生検を行い,右乳癌cStage IV(胸膜,肝,骨),原発性肺腺癌cStage IA3と診断した.骨破壊像はなく,病理組織学的検査では乳癌・肺癌ともに腫瘍細胞はPTHrP陽性であり,高カルシウム血症の原因はPTHrP産生腫瘍に伴うものだった.乳癌および原発性肺腺癌の同時性重複癌におけるPTHrP産生腫瘍は稀であり,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.84.1170