積層CFRP鉄棒用義手手先具の最適設計とディジタルファブリケーション

先天性片側前腕欠損児が鉄棒運動に参加するにあたり,左右のバランスの取れた筋力を育むため運動用義手を用いて授業に参加する選択肢が望まれる.本研究では,逆上がり中の健側の手と近い荷重支持機能を備え,小学校低学年児にも負担なく安全に使用可能な手先具の開発を目的とする.重量100g,許容引張荷重500N を設計仕様とし,逆上がり動作中の手指と手関節の動きと力の支持方向を設定し,支持面形状を設計した.有限要素解析を用い,鉤部加重時の最大引張応力を抑制しつつ詳細設計を進めた.軽量化のため1.35mm 厚の炭素繊維強化プラスチック(以下,CFRP)板を積層,接着する構造とし三次元加工機で曲線を切削した.手先...

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Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual57; no. Abstract; p. S282_1
Main Authors 中村, 駿介, 波床, 悠喜, 大西, 謙吾
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2019
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual57.S282_1

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Summary:先天性片側前腕欠損児が鉄棒運動に参加するにあたり,左右のバランスの取れた筋力を育むため運動用義手を用いて授業に参加する選択肢が望まれる.本研究では,逆上がり中の健側の手と近い荷重支持機能を備え,小学校低学年児にも負担なく安全に使用可能な手先具の開発を目的とする.重量100g,許容引張荷重500N を設計仕様とし,逆上がり動作中の手指と手関節の動きと力の支持方向を設定し,支持面形状を設計した.有限要素解析を用い,鉤部加重時の最大引張応力を抑制しつつ詳細設計を進めた.軽量化のため1.35mm 厚の炭素繊維強化プラスチック(以下,CFRP)板を積層,接着する構造とし三次元加工機で曲線を切削した.手先具形状に切り出した板の内面に引張荷重を加えた際の応力分布は応力解析で求めたが,CFRP板の引張強度は炭素繊維の方向の影響を受けることから確認した,引張荷重方向と炭素繊維方向が0,30,45,60degをなす4種類の試験片を用意し,相対比較のため応力-ひずみ線図を求めた.最大応力は各試験片で14.15,12.72,10.10,10.39 N/mm2であり,手先具を積層・接着することで軽量で強度を満たす手先具が製作できることが確認できた.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual57.S282_1