高血圧は早期に冠動脈血管抵抗を上昇させる 腹部大動脈クリッピング高血圧ラット肥大心モデルにおける検討

「要旨」【目的】高血圧, 心肥大の進展とともに冠循環の悪化がいつ出現するのか, 実験的検討を行うこと. 【方法】ラット腹部大動脈にクリップにて狭窄を作成し, 高血圧モデルを作成. 【成績】頸動脈血圧は, 術後2週目から有意に上昇. 左室重量, 冠動脈血管抵抗は, 術後1週目から有意に上昇. 虚血後の左室駆出圧, 左室拡張終期圧は有意差を認めなかった. 【結語】本モデルにおいて, 左室への圧負荷は, 高血圧が進行する前から, 左室肥大を招き, 早期に冠循環を悪化させた. 虚血後の左室機能には影響はなかったものの, 冠動脈血管抵抗の上昇は冠動脈バイパスには不利と思われる. 高血圧の早期から冠循環障...

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Published in循環制御 Vol. 24; no. 2; pp. 131 - 134
Main Author 嶌田, 泰之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本循環制御医学会 2003
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ISSN0389-1844
DOI10.11312/ccm.24.131

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Summary:「要旨」【目的】高血圧, 心肥大の進展とともに冠循環の悪化がいつ出現するのか, 実験的検討を行うこと. 【方法】ラット腹部大動脈にクリップにて狭窄を作成し, 高血圧モデルを作成. 【成績】頸動脈血圧は, 術後2週目から有意に上昇. 左室重量, 冠動脈血管抵抗は, 術後1週目から有意に上昇. 虚血後の左室駆出圧, 左室拡張終期圧は有意差を認めなかった. 【結語】本モデルにおいて, 左室への圧負荷は, 高血圧が進行する前から, 左室肥大を招き, 早期に冠循環を悪化させた. 虚血後の左室機能には影響はなかったものの, 冠動脈血管抵抗の上昇は冠動脈バイパスには不利と思われる. 高血圧の早期から冠循環障害は認められうるので, 冠動脈保護のために早期からの降圧治療が必要と考える. 「はじめに」心臓肥大は心血管事故の重要な危険因子とされている1). 著者らはこれまで高血圧による左室肥大が致命的不整脈(虚血再灌流による)を招き, 冠循環も悪化させることを実験的に示してきた2,3).
ISSN:0389-1844
DOI:10.11312/ccm.24.131