排泄体位により異なる怒責圧が循環系に及ぼす影響

仰臥位と座位で排便に有効な怒責圧を負荷した際,循環系の反応に差異はあるか否かについて明らかにし,生理的に安全な排便姿勢を検討した.被験者は健常者10名 (年齢34.1±11.2歳) で,仰臥位と座位で10,20,30mmHgの怒責を15秒間負荷した.心拍数,血圧,胸部インピーダンスによる一回拍出量,怒責圧,直腸内圧を測定し,本実験で 「排便に有効な直腸内圧」 と定義した直腸内圧10mmHg以上のときの最小怒責圧に対する各指標を,spline関数を用いて1秒間隔で再サンプリングした.その結果,被験者の怒責圧は座位にくらべ仰臥位で高かった (仰臥位:24.0±11.8mmHg,座位:17.5±7....

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Published in日本看護技術学会誌 Vol. 14; no. 2; pp. 156 - 163
Main Authors 今井, 美香, 平井, 真理, 岩瀬, 敏, 西村, 直記, 清水, 祐樹, 藤井, 徹也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本看護技術学会 20.08.2015
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Summary:仰臥位と座位で排便に有効な怒責圧を負荷した際,循環系の反応に差異はあるか否かについて明らかにし,生理的に安全な排便姿勢を検討した.被験者は健常者10名 (年齢34.1±11.2歳) で,仰臥位と座位で10,20,30mmHgの怒責を15秒間負荷した.心拍数,血圧,胸部インピーダンスによる一回拍出量,怒責圧,直腸内圧を測定し,本実験で 「排便に有効な直腸内圧」 と定義した直腸内圧10mmHg以上のときの最小怒責圧に対する各指標を,spline関数を用いて1秒間隔で再サンプリングした.その結果,被験者の怒責圧は座位にくらべ仰臥位で高かった (仰臥位:24.0±11.8mmHg,座位:17.5±7.7mmHg,P =0.036).血圧は怒責開始時に上昇した後に低下し,9秒後に再度上昇した.怒責解除直後に低下した後に反跳性に増加した.怒責時の心拍数は上昇し,一回拍出量は減少した.すべての循環系の指標で体位による有意差は認められなかった.したがって,早期から患者の意向に添った座位での排便が可能であることが示唆された.
ISSN:1349-5429
2423-8511
DOI:10.18892/jsnas.14.2_156