ヒト鼻粘膜の機能解析から見えてくること

ヒト鼻粘膜上皮の初代培養系を用いたバリア機能の解析は経鼻投与による炎症制御の方法論の確立に重要である。タイト結合はバリア機能に関連し物質の透過性に関与する因子のひとつであり, この機能を調節するメカニズムを解明することは炎症制御に重要である。さらに, 樹状細胞やM細胞 (microfolds cell) のような抗原サンプリングに関与する免疫担当細胞の検討は経鼻投与によるアレルギー・感染などの免疫療法の効率化に寄与する。また, タイト結合などの細胞接着に関与する因子はウイルスの受容体であることが示されており, この意味ではウイルス感染の予防のための治療戦略としてタイト結合タンパクの研究を進める...

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Published inJIBI INKOKA TEMBO Vol. 52; no. Supplement; pp. s9 - s18
Main Authors 澤田, 典均, 高野, 賢一, 大國, 毅, 亀倉, 隆太, 小泉, 純一, 正木, 智之, 氷見, 徹夫, 小島, 隆, 近藤, 敦, 郷, 充, 小笠原, 徳子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻咽喉科展望会 2009
Society of Oto-rhino-laryngology Tokyo
Subjects
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ISSN0386-9687
1883-6429
DOI10.11453/orltokyo.52.s9

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Summary:ヒト鼻粘膜上皮の初代培養系を用いたバリア機能の解析は経鼻投与による炎症制御の方法論の確立に重要である。タイト結合はバリア機能に関連し物質の透過性に関与する因子のひとつであり, この機能を調節するメカニズムを解明することは炎症制御に重要である。さらに, 樹状細胞やM細胞 (microfolds cell) のような抗原サンプリングに関与する免疫担当細胞の検討は経鼻投与によるアレルギー・感染などの免疫療法の効率化に寄与する。また, タイト結合などの細胞接着に関与する因子はウイルスの受容体であることが示されており, この意味ではウイルス感染の予防のための治療戦略としてタイト結合タンパクの研究を進めることは意義のあることと考えられる。 ここでは鼻粘膜上皮と上皮内樹上細胞, さらに鼻粘膜のM細胞の存在について言及し, タイト結合とウイルス感染との関連, さらに, タイト結合タンパクの調節のメカニズムについても言及する。
ISSN:0386-9687
1883-6429
DOI:10.11453/orltokyo.52.s9