自然脱落し嵌頓・閉塞性腸炎をきたした結腸脂肪腫の1例

症例は61歳,女性。左側腹部痛を主訴に近医受診し,既知の有茎性結腸脂肪腫による腸重積を疑われ紹介となった。腹部CTで既知の肝弯曲部に認めていた5cm大の腫瘤が,下行結腸で嵌頓し閉塞性腸炎をきたした所見を認めた。内視鏡的摘出を試みたが困難であり,緊急手術の方針とした。術中所見は下行結腸中ほどに嵌頓する腫瘤を認め,腫瘤を肛門側へ送りだそうとしたが,嵌頓部で腸管は裂け同部位で腫瘤を摘出した。腸管壁を縫合閉鎖し回腸にdiverting stomaを造設し手術を終えた。病理診断は壊死を伴った脂肪腫であった。脂肪腫を含め消化管腫瘤では,腫瘤による腸重積の報告は多くみられる。一方で大腸における消化管腫瘤の自...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 43; no. 7; pp. 1043 - 1046
Main Authors 牧田, 直樹, 浅海, 吉傑, 吉田, 貢一, 家接, 健一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 30.11.2023
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Summary:症例は61歳,女性。左側腹部痛を主訴に近医受診し,既知の有茎性結腸脂肪腫による腸重積を疑われ紹介となった。腹部CTで既知の肝弯曲部に認めていた5cm大の腫瘤が,下行結腸で嵌頓し閉塞性腸炎をきたした所見を認めた。内視鏡的摘出を試みたが困難であり,緊急手術の方針とした。術中所見は下行結腸中ほどに嵌頓する腫瘤を認め,腫瘤を肛門側へ送りだそうとしたが,嵌頓部で腸管は裂け同部位で腫瘤を摘出した。腸管壁を縫合閉鎖し回腸にdiverting stomaを造設し手術を終えた。病理診断は壊死を伴った脂肪腫であった。脂肪腫を含め消化管腫瘤では,腫瘤による腸重積の報告は多くみられる。一方で大腸における消化管腫瘤の自然脱落の報告は散見されるが,脱落した腫瘤の嵌頓症例はまれである。有症状例や腫瘍径によっては早い段階で低侵襲治療を考慮する必要があると考えられた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.43.1043