Nuck管水腫と盲腸に併存した子宮内膜症の1例

症例は53歳の女性.Nuck管水腫の診断で切除術を施行され,病理組織学的に子宮内膜症を伴ったNuck管水腫と診断された.初回手術から26カ月後,他疾患のフォロー目的に施行した腹部造影CTで偶発的に回盲部の壁肥厚を指摘された.診断,治療目的に腹腔鏡下回盲部切除術が施行され,病理組織学的に腸管子宮内膜症と診断された.初回手術前の腹部単純CTを確認すると,回盲部に壁肥厚を認め,Nuck管水腫と腸管子宮内膜症が併存していたことが明らかとなった.Nuck管水腫は,Nuck管内やその近傍の鼠径部,あるいは女性生殖器に子宮内膜症を併存するとされるが,その他臓器への併存は報告がない.自験例から,Nuck管水腫...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 84; no. 7; pp. 1097 - 1102
Main Authors 石村, 陸, 吉田, 瑛司, 近藤, 裕太, 村松, 里沙, 及能, 拓朗, 寺井, 琴美, 計良, 淑子, 髙金, 明典
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2023
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Summary:症例は53歳の女性.Nuck管水腫の診断で切除術を施行され,病理組織学的に子宮内膜症を伴ったNuck管水腫と診断された.初回手術から26カ月後,他疾患のフォロー目的に施行した腹部造影CTで偶発的に回盲部の壁肥厚を指摘された.診断,治療目的に腹腔鏡下回盲部切除術が施行され,病理組織学的に腸管子宮内膜症と診断された.初回手術前の腹部単純CTを確認すると,回盲部に壁肥厚を認め,Nuck管水腫と腸管子宮内膜症が併存していたことが明らかとなった.Nuck管水腫は,Nuck管内やその近傍の鼠径部,あるいは女性生殖器に子宮内膜症を併存するとされるが,その他臓器への併存は報告がない.自験例から,Nuck管水腫に併存する子宮内膜症は腹腔内の他臓器にも発症する可能性が示唆され,Nuck管水腫診療において,術前,術中の腹腔内検索を考慮する必要性があると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.84.1097