少数の短距離チャネルを使用したfNIRS信号に含まれる頭皮血流のグローバルな影響の低減

fNIRSは簡便な脳機能計測装置である反面、タスク実行に伴う血圧変動等によって生じた頭皮での血流が、擬陽性の脳活動評価を引き起こすことが問題とされている。このような問題に対して、通常よりも光源-検出器間距離の短いチャネル (短距離チャネル) を使用することで頭皮血流のみを計測する方法が提案されている。しかしながら、プローブ数の限られた環境では短距離チャネル数と通常のチャネル (長距離チャネル) 数、すなわち計測範囲はトレードオフの関係にあり、広範囲を計測するためには使用する短距離チャネル数は少数であることが望ましい。本研究では、頭皮血流はグローバルに分布し部位ごとの差異は小さいと仮定することに...

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Published in生体医工学 Vol. Annual57; no. Abstract; p. S128_2
Main Authors 佐藤, 貴紀, 南部, 功夫, 武田, 湖太郎, 大須, 理英子, 和田, 安弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2019
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Summary:fNIRSは簡便な脳機能計測装置である反面、タスク実行に伴う血圧変動等によって生じた頭皮での血流が、擬陽性の脳活動評価を引き起こすことが問題とされている。このような問題に対して、通常よりも光源-検出器間距離の短いチャネル (短距離チャネル) を使用することで頭皮血流のみを計測する方法が提案されている。しかしながら、プローブ数の限られた環境では短距離チャネル数と通常のチャネル (長距離チャネル) 数、すなわち計測範囲はトレードオフの関係にあり、広範囲を計測するためには使用する短距離チャネル数は少数であることが望ましい。本研究では、頭皮血流はグローバルに分布し部位ごとの差異は小さいと仮定することにより、少数の短距離チャネル信号から推定したグローバルな頭皮血流成分の影響を低減する手法を提案する。具体的には、少数の短距離チャネル信号の第一主成分と脳血流モデルから成る一般線形モデルを長距離チャネル信号に適用することによって、グローバルな頭皮血流成分の影響を低減した脳活動評価を行う。片手指運動時のfNIRS信号に提案手法を適用したところ、脳活動の局在性が顕著に改善され、提案手法の有効性が示唆された。
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual57.S128_2