愛知県長久手市におけるPM2.5中の炭素成分と無機イオン成分の日毎連続測定―2004年度から2014年度の平均値の経年変化と高濃度時の特徴

'04年度から'14年度の長久手におけるPM2.5成分濃度の連続観測をもとに、日平均値の年度別統計値の特徴と経年変動の傾向を以下にまとめる。PM2.5重量濃度の年平均値は観測期間中に低下傾向を示しており、'10年度以降の低下は緩やかである。主要5成分(元素状炭素;EC、有機炭素;OC、SO42-、NO3-、NH4+)の中でOCとSO42-の年平均値は、他の成分より高い値で推移しており、今後PM2.5重量濃度の年平均値を下げるためには特に両成分の濃度を下げる対策が重要である。ECの年平均値は'04年度から'09年度まで低下傾向を示し、ディーゼル車...

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Published in大気環境学会誌 Vol. 53; no. 3; pp. 100 - 110
Main Authors 竹川, 秀人, 唐澤, 正宜
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 大気環境学会 10.05.2018
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ISSN1341-4178
2185-4335
DOI10.11298/taiki.53.100

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Summary:'04年度から'14年度の長久手におけるPM2.5成分濃度の連続観測をもとに、日平均値の年度別統計値の特徴と経年変動の傾向を以下にまとめる。PM2.5重量濃度の年平均値は観測期間中に低下傾向を示しており、'10年度以降の低下は緩やかである。主要5成分(元素状炭素;EC、有機炭素;OC、SO42-、NO3-、NH4+)の中でOCとSO42-の年平均値は、他の成分より高い値で推移しており、今後PM2.5重量濃度の年平均値を下げるためには特に両成分の濃度を下げる対策が重要である。ECの年平均値は'04年度から'09年度まで低下傾向を示し、ディーゼル車の新規規制車への代替効果が主な要因と考える。一方、'09年度から'14年度にかけてECの年平均値は緩やかな減少に留まり、新規規制車への代替効果は'09年度以降小さくなった。OCの年平均値は'04年度から'07年度にかけて、ECとほぼ同じような濃度変動を示した。一方、'07年度から'10年度までECは濃度低下が認められたものの、OCの濃度低下は認められなかった。PM2.5日平均値の年間上位、中位、下位5%に含まれる日の平均値の成分比率を比較すると、SO42-の比率は下位<中位<上位の順に高くなり、逆に全炭素(=EC+OC)の比率は上位<中位<下位の順に高くなる傾向がみられた。各年度の上位5%のクラスでSO42-の比率が最も高く、PM2.5日平均値の98%値を下げるためにはSO42-濃度を下げる対策が重要と考える。
ISSN:1341-4178
2185-4335
DOI:10.11298/taiki.53.100