都道府県別喫煙率の経年変化と死因別死亡率の経年変化との関係
目的:公開されている公的データを活用し,全国と都道府県別の喫煙率の経年変化を確認したうえで,都道府県別の喫煙率の経年変化が主要な死因(悪性新生物等)による死亡率の経年変化とどのような関連があるかを明らかにすることを目的とした.方法:国民生活基礎調査で調査が開始された2001年から2019年までの全国と都道府県の喫煙のデータをe-Statより収集し,喫煙率を算出した.死因別死亡は,同期間の人口動態調査の死因(死因簡単分類)と人口推計等をそれぞれ同様に収集し,死因別死亡率を算出した.その後,全国と都道府県別に年齢調整喫煙率と死因別の年齢調整死亡率(いずれも「基準人口の改訂に向けた検討会による平成2...
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Published in | 保健医療科学 Vol. 71; no. 2; pp. 175 - 183 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
国立保健医療科学院
16.05.2022
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Summary: | 目的:公開されている公的データを活用し,全国と都道府県別の喫煙率の経年変化を確認したうえで,都道府県別の喫煙率の経年変化が主要な死因(悪性新生物等)による死亡率の経年変化とどのような関連があるかを明らかにすることを目的とした.方法:国民生活基礎調査で調査が開始された2001年から2019年までの全国と都道府県の喫煙のデータをe-Statより収集し,喫煙率を算出した.死因別死亡は,同期間の人口動態調査の死因(死因簡単分類)と人口推計等をそれぞれ同様に収集し,死因別死亡率を算出した.その後,全国と都道府県別に年齢調整喫煙率と死因別の年齢調整死亡率(いずれも「基準人口の改訂に向けた検討会による平成27年(2015年)平滑化人口」を基準人口とした直接法)をそれぞれ算出した.同期間の年齢調整喫煙率の平均年変化率を確認したうえで,年齢調整喫煙率の平均年変化率と年齢調整死亡率の平均年変化率との相関関係を,死因別に,都道府県を単位とした生態学的研究により確認した.結果:全国の年齢調整喫煙率の経年変化は,平均年変化率(相対変化,%/年)が,男性:-2.8%(95%信頼区間:-2.9, -2.6),女性:-2.3%(-2.7, -1.9)と男女とも有意に低下していた.都道府県別では,男性は全ての都道府県で有意な低下が確認され,女性では,青森県,鳥取県,佐賀県,鹿児島県を除く都道府県で有意な低下が確認された.男性に比べ女性では低下率が小さいことが多かった.喫煙の変化と死因別死亡の変化との関連は,死因と性別によって変化量が異なるが,年齢調整喫煙率の平均年低下率が相対的に大きい県では,男女とも全死亡,悪性新生物,脳血管疾患において年齢調整死亡率の平均年低下率が相対的に大きい,有意な正の相関関係(全死亡(Pearsonの相関係数; 男性0.456,女性0.439),悪性新生物(男性0.359,女性0.431),脳血管疾患(男性0.460,女性0.331))が確認された.結論:都道府県別の喫煙と死因別死亡との関係は,年齢調整喫煙率の平均年低下率が相対的に大きい都道府県では,男女ともに全死亡,悪性新生物,脳血管疾患の年齢調整死亡率の平均年低下率が相対的に大きい,有意な正の相関関係が確認された.本解析方法は地域における要因の変化と結果の変化との関連を検討する方法のひとつとして提案できる. |
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ISSN: | 1347-6459 2432-0722 |
DOI: | 10.20683/jniph.71.2_175 |