思春期生徒との信頼関係を進展させる健康相談活動・健康相談の継続支援プロセス第2段階

思春期の発達段階にある中学校・高等学校の生徒が抱える心的要因による健康問題において、その解決に向けて養護教諭が行う健康相談活動・健康相談の重要性が示されている。 本研究は、健康相談活動・健康相談の継続支援とつなげていく第2段階における生徒と養護教諭の信頼関係を進展させていく、養護教諭の対応のプロセスを明らかにすることを目的とする。中学校・高等学校の養護教諭9名を対象としたインタビュー調査における第2段階の内容について、M-GTA分析を行った結果、22個の概念、14個のカテゴリー、7個のコアカテゴリーが導き出された。生徒との信頼関係を進展させていく養護教諭の対応過程は、【安心して話してくれる関係...

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Published in日本健康相談活動学会誌 Vol. 15; no. 1; pp. 27 - 40
Main Authors 菊池, 美奈子, 池川, 典子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本健康相談活動学会 25.03.2020
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ISSN1882-3807
2436-1038
DOI10.50846/jjahca.15.1_27

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Summary:思春期の発達段階にある中学校・高等学校の生徒が抱える心的要因による健康問題において、その解決に向けて養護教諭が行う健康相談活動・健康相談の重要性が示されている。 本研究は、健康相談活動・健康相談の継続支援とつなげていく第2段階における生徒と養護教諭の信頼関係を進展させていく、養護教諭の対応のプロセスを明らかにすることを目的とする。中学校・高等学校の養護教諭9名を対象としたインタビュー調査における第2段階の内容について、M-GTA分析を行った結果、22個の概念、14個のカテゴリー、7個のコアカテゴリーが導き出された。生徒との信頼関係を進展させていく養護教諭の対応過程は、【安心して話してくれる関係につながるネガティブな言動の受け止め】、【心的要因を表出できるように働きかけ・覚悟を決めて聴く】、【心揺さぶられ共に解決に向けてかかわっていく決意】、【安心感につながるネガティブな気持ちに寄り添った対応】、【一緒に考え続ける対話によってつながりが深まる日々の対応】、【巣立ちの承認】、【肯定的な側面を見出し・成長している側面に焦点をあてたかかわり】であり、特に【心的要因を表出できるように働きかけ・覚悟を決めて聴く】が重要な局面であることが示された。 生徒との信頼関係をどのように進展させていたかについて考察したところ、思春期の心的要因による健康問題を抱える生徒と信頼関係を進展させる継続支援プロセス第2段階の養護教諭の対応過程において、養護教諭は生徒が"安心して話してくれる関係"によって、"苦しみを共有する関係"とし、生徒の"心身の健康問題の解決に共に向かう関係"を成立させていた。その後、"安心感のある関係"を基にして、解決に向けた両者の"対話により深まる信頼関係"、"安心感の基に巣立ちを承認する関係"へと進展させ、健康問題の解決と共に、生徒の心身の成長・発達を促していたことが明らかになった。
ISSN:1882-3807
2436-1038
DOI:10.50846/jjahca.15.1_27