女性における家族介護者の高血圧自覚の有無による血圧管理状況

目的 家族介護者(以下,介護者群)の高血圧に罹患した自覚(以下,高血圧自覚)の有無による血圧管理状況を,介護を行っていない者(以下,対照者群)と対比して明らかにすること。 方法 2005年12月から2007年 4 月に実施した「主介護者の健康支援システムの構築に関する研究」で収集された既存データの一部を使用した。解析対象者は,女性の高血圧有病者とした(介護者群66人 年齢49~84歳,対照者群52人 年齢47~81歳)。高血圧有病者とは自記式質問紙にて「高血圧に現在かかっている」,「血圧の薬を服用している」のいずれかに回答した者,あるいは,血圧測定値の SBP が140 mmHg 以上又は D...

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Published in日本公衆衛生雑誌 Vol. 58; no. 12; pp. 1016 - 1025
Main Authors 鈴木, 洋子, 堀, 容子, 星野, 純子, 濱本, 律子, 杉山, 晃子, 岡田, 武, 永井, 邦芳, 近藤, 高明, 玉腰, 浩司, 岡本, 和士, 長澤, 伸江, 豊嶋, 英明, 榊原, 久孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本公衆衛生学会 2011
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Summary:目的 家族介護者(以下,介護者群)の高血圧に罹患した自覚(以下,高血圧自覚)の有無による血圧管理状況を,介護を行っていない者(以下,対照者群)と対比して明らかにすること。 方法 2005年12月から2007年 4 月に実施した「主介護者の健康支援システムの構築に関する研究」で収集された既存データの一部を使用した。解析対象者は,女性の高血圧有病者とした(介護者群66人 年齢49~84歳,対照者群52人 年齢47~81歳)。高血圧有病者とは自記式質問紙にて「高血圧に現在かかっている」,「血圧の薬を服用している」のいずれかに回答した者,あるいは,血圧測定値の SBP が140 mmHg 以上又は DBP が90 mmHg 以上であった者とした。また,自記式質問紙の高血圧自覚について「高血圧に現在かかっている」,「今までにかかったことがある」,「血圧の薬を服用している」のいずれかに回答した者を自覚有り群とし,いずれにも回答しなかった者を自覚無し群とした。血圧管理状況の指標には血圧値を用いた。検定には χ2 検定,Student の t 検定等を用い,有意水準は P<0.05とした。 結果 介護者群では,自覚有り群と無し群ともに血圧値の平均値が高く,有意な差は認められなかった(有り群 vs 無し群 SBP: 148±20 mmHg vs 154±9 mmHg, DBP: 79±13 mmHg vs 82±10 mmHg)。一方,対照者群では自覚有り群が無し群よりも血圧値の平均値が有意に低かった(有り群 vs 無し群 SBP: 135±15 mmHg vs 149±7 mmHg, DBP: 73±10 mmHg vs 78±6 mmHg)。さらに,介護者群の自覚有り群における降圧薬服用者の血圧値についてみると,高血圧の基準値となる SBP 140 mmHg を超えた高い値であり,非服用者の血圧値と有意な差は認められなかった(介護者群 降圧薬服用者 vs 非服用者 SBP: 148±21 mmHg vs 149±8 mmHg, DBP: 78±14 mmHg vs 86±5 mmHg)。 結論 介護者群の血圧値は,高血圧自覚の有無による差は認められず高い値であった。さらに,介護者群は降圧薬を服用していても,高血圧の基準値を上回る高い血圧値であった。このため,介護者群は降圧薬による血圧管理が悪い状況にあることが示唆された。
ISSN:0546-1766
2187-8986
DOI:10.11236/jph.58.12_1016