高齢がん患者に対する栄養療法~栄養士の立場から

がん患者では、がん悪液質の病態と化学療法や手術などのがん治療に伴う侵襲によって、栄養障害に陥りやすい。また、がん治療前の栄養障害は、術後の合併症や術後回復の低下、また化学療法による有害事象の発現率が増加し、治療の完遂率にも影響を及ぼす。高齢者は、一般的に加齢による基礎代謝の低下や咀嚼・嚥下機能の低下などの身体的機能の低下が見られ、さらに複数の疾患を有していることが多いため、栄養障害に陥りやすい。高齢がん患者になると、加齢による身体的機能の低下などに加えて、がん特有の代謝異常が加わることによって、若年患者と比べて容易に栄養障害をきたし易い。また、いったん栄養障害に陥ると、その回復は非常に困難とな...

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Published in日本静脈経腸栄養学会雑誌 Vol. 34; no. 2; pp. 102 - 106
Main Authors 竹島, 美香, 利光, 久美子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会 2019
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ISSN2189-0161
2189-017X
DOI10.11244/jspen.34.102

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Summary:がん患者では、がん悪液質の病態と化学療法や手術などのがん治療に伴う侵襲によって、栄養障害に陥りやすい。また、がん治療前の栄養障害は、術後の合併症や術後回復の低下、また化学療法による有害事象の発現率が増加し、治療の完遂率にも影響を及ぼす。高齢者は、一般的に加齢による基礎代謝の低下や咀嚼・嚥下機能の低下などの身体的機能の低下が見られ、さらに複数の疾患を有していることが多いため、栄養障害に陥りやすい。高齢がん患者になると、加齢による身体的機能の低下などに加えて、がん特有の代謝異常が加わることによって、若年患者と比べて容易に栄養障害をきたし易い。また、いったん栄養障害に陥ると、その回復は非常に困難となってくる。従って、栄養状態に影響しうる高齢者の特性を十分把握した上で、個々の高齢患者に即した栄養療法を行っていくことが重要である。
ISSN:2189-0161
2189-017X
DOI:10.11244/jspen.34.102