Persistent descending mesocolonに伴う傍下行結腸窩ヘルニアの1例

Persistent descending mesocolon(PDM)は下行結腸間膜と壁側腹膜との癒合不全による稀な固定異常である.これまで報告例の少ないPDMに伴った傍下行結腸窩ヘルニアを経験したため報告する.症例は74歳,女性.持続する腹痛と嘔吐を主訴に当院を受診した.腸閉塞が疑われCTを施行したところ,下行結腸が内側に偏位し,小腸と結腸はともにcaliber changeを呈していた.腸管固定異常に伴う内ヘルニア嵌頓が疑われたため,緊急手術を施行した.下行結腸は内側に偏位し小腸間膜と癒着しており,その外側にヘルニア門を有する傍下行結腸窩を確認した.PDMに伴って発生した傍下行結腸窩への...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 82; no. 7; pp. 1381 - 1385
Main Authors 大田, 多加乃, 濱洲, 晋哉, 伏谷, 仁志, 森岡, 三智奈, 山岡, 利成
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2021
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Summary:Persistent descending mesocolon(PDM)は下行結腸間膜と壁側腹膜との癒合不全による稀な固定異常である.これまで報告例の少ないPDMに伴った傍下行結腸窩ヘルニアを経験したため報告する.症例は74歳,女性.持続する腹痛と嘔吐を主訴に当院を受診した.腸閉塞が疑われCTを施行したところ,下行結腸が内側に偏位し,小腸と結腸はともにcaliber changeを呈していた.腸管固定異常に伴う内ヘルニア嵌頓が疑われたため,緊急手術を施行した.下行結腸は内側に偏位し小腸間膜と癒着しており,その外側にヘルニア門を有する傍下行結腸窩を確認した.PDMに伴って発生した傍下行結腸窩への小腸嵌頓ならびに下行結腸による小腸圧排にて,小腸の通過障害をきたしたと考えられた.血流障害は認めなかったため,ヘルニア門を開放し,手術を終了した.腸管固定は施行しなかった.腸管固定異常に起因した腸閉塞の手術において,後腹膜への腸管固定に関しては議論の余地があり,更なる症例の蓄積が望まれる.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.82.1381