アモキシシリン/クラブラン酸による難治性胆汁うっ滞型薬物性肝障害に対しフェノバルビタールが有効であった一例
70代男性.黄疸発症7週前に肺化膿症でアモキシシリン/クラブラン酸(AMPC/CVA)を計6週間投与された.投与終了7日後のX日,黄疸を主訴に受診した.DDW-J 2004薬物性肝障害診断基準6点でありAMPC/CVAによる薬物性肝障害(DILI)を疑った.黄疸は経時的に悪化し,第1回肝生検後にPSL 30 mgとUDCA 300 mgを開始した.しかし黄疸改善乏しく肝予備能も低下傾向となったことから,第2回肝生検を施行した後にタウリン投与,ステロイドパルスを行ったが黄疸は改善しなかった.フェノバルビタール(PB)120 mg/日を開始したところ著明な減黄が得られ,PB投与終了後も再燃なく経過...
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Published in | 肝臓 Vol. 65; no. 9; pp. 433 - 439 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本肝臓学会
01.09.2024
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Subjects | |
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ISSN | 0451-4203 1881-3593 |
DOI | 10.2957/kanzo.65.433 |
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Summary: | 70代男性.黄疸発症7週前に肺化膿症でアモキシシリン/クラブラン酸(AMPC/CVA)を計6週間投与された.投与終了7日後のX日,黄疸を主訴に受診した.DDW-J 2004薬物性肝障害診断基準6点でありAMPC/CVAによる薬物性肝障害(DILI)を疑った.黄疸は経時的に悪化し,第1回肝生検後にPSL 30 mgとUDCA 300 mgを開始した.しかし黄疸改善乏しく肝予備能も低下傾向となったことから,第2回肝生検を施行した後にタウリン投与,ステロイドパルスを行ったが黄疸は改善しなかった.フェノバルビタール(PB)120 mg/日を開始したところ著明な減黄が得られ,PB投与終了後も再燃なく経過観察中である.AMPC/CVAに特徴的な胆汁うっ滞型DILIの経過と,難治性の黄疸に対するPBの著効を呈した貴重な症例と考え報告する. |
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ISSN: | 0451-4203 1881-3593 |
DOI: | 10.2957/kanzo.65.433 |