深さ選択性フィルタによる皮膚血流変化の低減

NIRSによる脳機能計測において、脳血流変化(深部信号)に重畳する皮膚血流変化(表層信号)の低減は重要である。本研究では正三角形のセンサ配置[1]に深さ選択性フィルタ[2]を適用し表層信号の低減効果を検証した。正三角形のセンサ配置では頂点-重心間で3種類の表層信号を頂点間で3種類の観測値(深層信号+表層信号)を得る。深さ選択性フィルタは、生体内の血液量変化による吸光度変化から観測値を求める順方向問題を線形近似し、逆問題を解き、フィルタにより深部信号を選択的に抽出する方法である。解析ボクセルは表層(深さ2㎜、光源・検出点直下)と、深層(深さ12㎜、領域内2mm間隔)の2層に配置した。シミュレーシ...

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Published in生体医工学 Vol. Annual57; no. Abstract; p. S164_1
Main Authors 福田, 恵子, 岩田, 勇樹, 藤井, 麻美子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2019
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Summary:NIRSによる脳機能計測において、脳血流変化(深部信号)に重畳する皮膚血流変化(表層信号)の低減は重要である。本研究では正三角形のセンサ配置[1]に深さ選択性フィルタ[2]を適用し表層信号の低減効果を検証した。正三角形のセンサ配置では頂点-重心間で3種類の表層信号を頂点間で3種類の観測値(深層信号+表層信号)を得る。深さ選択性フィルタは、生体内の血液量変化による吸光度変化から観測値を求める順方向問題を線形近似し、逆問題を解き、フィルタにより深部信号を選択的に抽出する方法である。解析ボクセルは表層(深さ2㎜、光源・検出点直下)と、深層(深さ12㎜、領域内2mm間隔)の2層に配置した。シミュレーションにて表層信号の影響が低減されて深層信号の位置が推定できることを2次元画像で確認した。また、姿勢変化(端座位から前方へ30°倒した姿勢)に伴う光強度変化を測定して深さ選択性フィルタを適用し、姿勢変化に伴う信号強度が最大で5%へ低減できた。このため、深さ選択性フィルタが提案する正三角形のセンサ配置に有用であると考えられる。[1] Fujii M, Nakayama K, Phys. Med. Biol. 2009; 54:1419-1433.[2] Fukuda K, Takao A, Adv. Biomed. Eng. 2016; 5: 49-55.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual57.S164_1