小腸穿孔をきたした成人T細胞性白血病リンパ腫の1例

症例は77歳,男性.麻痺性イレウスと診断され,前医に入院.血液検査にて形態異常リンパ球を認め,可溶性IL-2Rが13万U/mlと異常高値を示し,精査予定であった.しかし,穿孔性腹膜炎を併発し,外科治療目的に当院に転院,緊急手術を施行した.開腹所見ではTreitz靱帯から回盲部までの小腸全体の漿膜側にまだら様色調変化を認め,回盲部から口側約25cmの小腸に腫瘍性の穿孔があり,小腸部分切除術を施行した.術後の病理診断にて,成人T細胞白血病リンパ腫(ATLL)の腫瘍細胞浸潤に伴う小腸穿孔と判明した.ATLLの消化管浸潤に伴う穿孔はこれまでも9例1)~9)の報告があり,その予後は不良である.今回われわ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 84; no. 8; pp. 1262 - 1266
Main Authors 望月, 翔太朗, 青砥, 慶太, 塚田, 学, 大須賀, 文彦, 遠藤, 豪一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2023
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Summary:症例は77歳,男性.麻痺性イレウスと診断され,前医に入院.血液検査にて形態異常リンパ球を認め,可溶性IL-2Rが13万U/mlと異常高値を示し,精査予定であった.しかし,穿孔性腹膜炎を併発し,外科治療目的に当院に転院,緊急手術を施行した.開腹所見ではTreitz靱帯から回盲部までの小腸全体の漿膜側にまだら様色調変化を認め,回盲部から口側約25cmの小腸に腫瘍性の穿孔があり,小腸部分切除術を施行した.術後の病理診断にて,成人T細胞白血病リンパ腫(ATLL)の腫瘍細胞浸潤に伴う小腸穿孔と判明した.ATLLの消化管浸潤に伴う穿孔はこれまでも9例1)~9)の報告があり,その予後は不良である.今回われわれは,小腸穿孔をきたしたATLLの1例を経験したため,考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.84.1262