HBs抗体基準値内のためHBV再活性化非モニタリング下にde novo B型肝炎を発症した1例

症例は70歳代女性.X-1年に悪性リンパ腫と診断され,R-CHOP療法が開始された.化学療法開始時のHBVマーカーは高感度HBs抗原陰性,HBc抗体陰性,HBs抗体基準値内(9.5 mIU/mL,基準値:10 mIU/mL未満)であり,HBV再活性化モニタリングは未施行であった.治療開始から13カ月後に肝機能障害を認め,HBs抗原の陽転化が判明しIgM-HBc抗体は陰性であった.R-CHOP療法前のHBs抗体価が基準値内高値であったことから既往感染からのde novo B型肝炎と診断した.HBs抗体単独陽性の既往感染者において,その判断に用いるHBs抗体価に明確な基準はない.HBs抗体のcut...

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Published in肝臓 Vol. 65; no. 7; pp. 336 - 342
Main Authors 隅井, 大介, 原田, 貴仁, 平田, 慶和, 藤原, 圭, 林, 則之, 松浦, 健太郎, 高田, 博樹, 池内, 寛和, 祖父江, 聡, 小島, 悠揮, 片岡, 洋望, 鈴木, 孝典, 山本, 友輝, 河村, 逸外
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 01.07.2024
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.65.336

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Summary:症例は70歳代女性.X-1年に悪性リンパ腫と診断され,R-CHOP療法が開始された.化学療法開始時のHBVマーカーは高感度HBs抗原陰性,HBc抗体陰性,HBs抗体基準値内(9.5 mIU/mL,基準値:10 mIU/mL未満)であり,HBV再活性化モニタリングは未施行であった.治療開始から13カ月後に肝機能障害を認め,HBs抗原の陽転化が判明しIgM-HBc抗体は陰性であった.R-CHOP療法前のHBs抗体価が基準値内高値であったことから既往感染からのde novo B型肝炎と診断した.HBs抗体単独陽性の既往感染者において,その判断に用いるHBs抗体価に明確な基準はない.HBs抗体のcut off値10 mIU/mLは最小感染防御抗体価であり既往感染を判断する基準値ではないことに留意し,高リスクな治療を行う際には定量結果にも着目する必要があると考えられた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.65.336