水酸化カルシウム製剤で処理した根部象牙質での接着性レジンセメントの接着強さ

• Published in: 日本歯科理工学会誌 Vol. 38; no. 1; pp. 52 - 58
• Main Authors: 服部, 雅之, 京極, 啓, 笠原, 正彰, 染屋, 智子, 武本, 真治
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 一般社団法人 日本歯科理工学会 25.01.2019
• Subjects: 元素分析; 接着強さ; 接着性レジンセメント; 水酸化カルシウム製剤; 電子線プローブマイクロアナライザー
• ISSN: 1884-4421; 2188-417X
• DOI: 10.18939/jsdmd.38.1_52

本研究では3種類の水酸化カルシウム製剤で処理した根部象牙質の浸透範囲を調査し，その処理した根部象牙質への接着性レジンセメントの接着強さに及ぼす影響を検討した．牛歯根管内に水酸化カルシウム製剤を充塡し，一週間後蒸留水中で超音波洗浄した．その試料を電子線マイクロアナライザーで分析した．一方で，水酸化カルシウム製剤で処理した根部象牙質に支台築造用レジンの硬化体を接着性レジンセメントで接着し，その接着強さを調べた．その結果，水酸化カルシウム製剤が根管内面のみならず，象牙細管内にも残存していることが明らかになった．また水酸化カルシウム製剤で処理した根部象牙質での接着性レジンセメントの接着強さは水酸化カルシウム製剤の処理の有無にかかわらず変わらなかった．したがって，水酸化カルシウム製剤の処理は，象牙細管内にまで薬剤は残存するが，接着性レジンセメントの接着強さに影響しないことが明らかとなった．