Lenvatinib短期投与の中止後に破裂した肝細胞癌の一剖検例

70歳代男性.肝左葉を中心に20 cm大の腫瘤を認め,生検で低分化型肝細胞癌と診断された.Lenvatinib 4 mg/日を開始したが,AST,LDH値の上昇がみられたため8日間で投与を中止した.中止後4日目に肝細胞癌が破裂し止血を試みたが永眠された.病理解剖所見では腫瘍結節に出血・壊死が広範囲に分布していた.FGF19の高発現によりlenvatinibが癌細胞死を強く誘導した可能性を考えたが,非腫瘍部の一部に細胞質と核にFGF19弱陽性細胞がみられたのに対して,びまん性に腫瘍細胞の核にFGF19陽性所見を認めた.FGF19の細胞内局在の意義は不明であるが,腫瘍部への血流がlenvatini...

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Published in肝臓 Vol. 63; no. 5; pp. 238 - 245
Main Authors 内田, 党央, 青山, 徹, 寺井, 悠二, 山口, 菜緒美, 加藤, 真吾, 屋嘉比, 康治, 菊池, 淳, 小笠原, 幸子, 矢野, 博久, 名越, 澄子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 01.05.2022
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Summary:70歳代男性.肝左葉を中心に20 cm大の腫瘤を認め,生検で低分化型肝細胞癌と診断された.Lenvatinib 4 mg/日を開始したが,AST,LDH値の上昇がみられたため8日間で投与を中止した.中止後4日目に肝細胞癌が破裂し止血を試みたが永眠された.病理解剖所見では腫瘍結節に出血・壊死が広範囲に分布していた.FGF19の高発現によりlenvatinibが癌細胞死を強く誘導した可能性を考えたが,非腫瘍部の一部に細胞質と核にFGF19弱陽性細胞がみられたのに対して,びまん性に腫瘍細胞の核にFGF19陽性所見を認めた.FGF19の細胞内局在の意義は不明であるが,腫瘍部への血流がlenvatinibの中止により再び増加し出血性壊死・破裂に至った可能性がある.腫瘍容積が大きく肝区域II,III,VIに位置する場合はlenvatinibの投与量に関わらず,投与中止後も破裂の危険性があることに留意する必要がある.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.63.238