超音波内視鏡で診断し,保存的加療が可能であった特発性胃壁膿瘍の1例

症例は50歳,男性。心窩部痛で当院受診。血液検査で白血球10,100/μL,CRP 6.86mg/dLと炎症反応高値を認め,腹部造影CTで胃体部前壁に連続する4cm大の腫瘤性病変を認めた。腹部超音波内視鏡検査で胃体部前壁内に境界明瞭で内部が均一な低エコーを示す腫瘤を認め,穿刺検査で白濁した膿性排液を確認し,特発性胃壁膿瘍と診断した。セフメタゾール投与で症状改善を認めた。第9病日の血液検査で炎症反応の低下を認めたがCTでは胃壁膿瘍が残存しており,レボフロキサシン内服を追加で行った。第40病日のCTでは膿瘍の縮小を認めた。胃壁膿瘍はまれな疾患で,胃粘膜下腫瘤の鑑別疾患として本疾患を念頭に置くことが...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 43; no. 7; pp. 1101 - 1104
Main Authors 勝尾, 彬, 島田, 雅也, 田中, 宏幸, 荒木, 崇博, 山田, 翔, 斎藤, 健一郎, 高嶋, 吉浩, 宗本, 義則
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 30.11.2023
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Summary:症例は50歳,男性。心窩部痛で当院受診。血液検査で白血球10,100/μL,CRP 6.86mg/dLと炎症反応高値を認め,腹部造影CTで胃体部前壁に連続する4cm大の腫瘤性病変を認めた。腹部超音波内視鏡検査で胃体部前壁内に境界明瞭で内部が均一な低エコーを示す腫瘤を認め,穿刺検査で白濁した膿性排液を確認し,特発性胃壁膿瘍と診断した。セフメタゾール投与で症状改善を認めた。第9病日の血液検査で炎症反応の低下を認めたがCTでは胃壁膿瘍が残存しており,レボフロキサシン内服を追加で行った。第40病日のCTでは膿瘍の縮小を認めた。胃壁膿瘍はまれな疾患で,胃粘膜下腫瘤の鑑別疾患として本疾患を念頭に置くことが重要である。CTで胃粘膜下腫瘍との鑑別が困難な場合,超音波内視鏡による精査が有用なことがある。胃壁膿瘍と診断し得た場合はドレナージや抗菌薬投与による保存的加療で改善が得られる可能性がある。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.43.1101