栃木県北部,塩原カルデラ噴出物の編年とマグマ変遷

栃木県,高原火山の塩原カルデラ形成噴火について編年とマグマ系を検討した.塩原カルデラ噴出物は下位からSo-KT(KT),So-TN(TN)およびSo-OT(OT)の3つの火砕流堆積物に分けられる.KTの直下とKTとTNの間の火山灰土壌中には,黒雲母の濃集で認識される外来テフラが認められる.火山ガラスや磁鉄鉱の化学組成およびジルコンのU-Pb年代により,下位および上位の外来テフラはそれぞれ貝塩上宝テフラ(KMT:620 ka)と大町APmテフラ群(410~337 ka)に対比できる.軽石の岩石学的特徴から,いずれの火砕流堆積物にもマグマ混合の証拠が認められ,それぞれ異なる珪長質端成分マグマに由来...

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Published in地質学雑誌 Vol. 129; no. 1; pp. 61 - 73
Main Authors 長谷川, 健, 大井, 信三, 西野, 佑紀, 伊藤, 久敏, 菊地, 瑛彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本地質学会 22.02.2023
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ISSN0016-7630
1349-9963
DOI10.5575/geosoc.2022.0046

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Summary:栃木県,高原火山の塩原カルデラ形成噴火について編年とマグマ系を検討した.塩原カルデラ噴出物は下位からSo-KT(KT),So-TN(TN)およびSo-OT(OT)の3つの火砕流堆積物に分けられる.KTの直下とKTとTNの間の火山灰土壌中には,黒雲母の濃集で認識される外来テフラが認められる.火山ガラスや磁鉄鉱の化学組成およびジルコンのU-Pb年代により,下位および上位の外来テフラはそれぞれ貝塩上宝テフラ(KMT:620 ka)と大町APmテフラ群(410~337 ka)に対比できる.軽石の岩石学的特徴から,いずれの火砕流堆積物にもマグマ混合の証拠が認められ,それぞれ異なる珪長質端成分マグマに由来することが分かる.特にKTとTNの間には約20万年以上の時間間隙があり,この間に珪長質端成分マグマの起源である下部地殻の諸条件(起源物質や溶融条件)が大きく変化したと考えられる.
ISSN:0016-7630
1349-9963
DOI:10.5575/geosoc.2022.0046