発症初期のダイナミック造影CTで地図状肝壊死を確認した急性発症型自己免疫性肝炎による急性肝不全の2症例
【症例1】54歳女性.主訴は全身倦怠感.T.Bil 5.7 mg/dL,ALT 563 IU/L,PT 48%,IgG 1,949 mg/dL,ANA 40倍.地図状変化の単純CT低吸収域は造影CTで早期に濃染され,平衡相まで造影効果が遷延していた.ステロイドを含む免疫抑制療法を開始し,肝炎は沈静化した.【症例2】57歳女性.主訴は下腿浮腫.T.Bil 6.9 mg/dL,ALT 313 IU/L,PT 40%,IgG正常,ANA陰性.症例1と同様な造影CT所見を認めた.治療3日目に脳症が出現し,IV度まで悪化した.21日目に脳死肝移植を行い救命した.いずれの症例も組織学的診断は困難であった....
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Published in | 肝臓 Vol. 63; no. 3; pp. 158 - 169 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本肝臓学会
01.03.2022
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Summary: | 【症例1】54歳女性.主訴は全身倦怠感.T.Bil 5.7 mg/dL,ALT 563 IU/L,PT 48%,IgG 1,949 mg/dL,ANA 40倍.地図状変化の単純CT低吸収域は造影CTで早期に濃染され,平衡相まで造影効果が遷延していた.ステロイドを含む免疫抑制療法を開始し,肝炎は沈静化した.【症例2】57歳女性.主訴は下腿浮腫.T.Bil 6.9 mg/dL,ALT 313 IU/L,PT 40%,IgG正常,ANA陰性.症例1と同様な造影CT所見を認めた.治療3日目に脳症が出現し,IV度まで悪化した.21日目に脳死肝移植を行い救命した.いずれの症例も組織学的診断は困難であった.単純CTで肝臓内に地図状変化を呈し,造影CTで特徴的な血流障害を認めた場合,血清学的および組織学的な診断が困難でも,急性発症型自己免疫性肝炎の可能性を考え,ステロイド治療を考慮する必要がある. |
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ISSN: | 0451-4203 1881-3593 |
DOI: | 10.2957/kanzo.63.158 |