トイレを介した院内感染の可能性に関する基礎的検討　～細菌の床への飛散と手指への付着について

• Published in: Transactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual57; no. Abstract; p. S183_1
• Main Authors: 菅原, 俊継, 印藤, 智一, 渡邉, 翔太郎, 木村, 主幸, 横山, 徹, 山下, 政司, 相川, 武司
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 公益社団法人 日本生体医工学会 2019; Japanese Society for Medical and Biological Engineering
• ISSN: 1347-443X; 1881-4379
• DOI: 10.11239/jsmbe.Annual57.S183_1

現在、医療施設では、スタンダードプリコーションの導入や院内感染対策室などを設けて、院内感染の対策に当たっている。しかし、ノロウイルスや薬剤耐性黄色ブドウ球菌、病原性大腸菌などに代表される院内感染が毎年報告されている。これらの感染症の感染経路の一つとして、トイレを介した感染経路が考えられているが、その可能性について詳細に調べられている例はほとんどない。そこで本研究では、トイレを介した院内感染の可能性について基礎的検討をおこなった。まず、実際の洋式便器の貯水タンク内の水を流した際に、どの程度便器周辺に水滴や細菌が飛散するのか検討した。その結果、便器周辺の床に水滴や細菌が飛散することがわかった。特に、便器内に貯留している水が水滴となって床に多く飛散することがわかった（図）。また、細菌が含まれている水滴に手指が触れた場合、1割程度の細菌が付着することがわかった。以上の知見は、トイレを介した院内感染につながる可能性を示しているものである。今後、飛散した水滴や手指に付着した病原微生物がどのように院内感染につながっていくのか検討をおこない、院内感染予防策を考えていく予定である。