硬膜下に慢性留置可能で皮質脳波・血液動態・温度を同時計測するフレキシブルセンサの開発
脳神経外科の臨床において、侵襲的な皮質神経活動の計測が術前、術中から術後に至る幅広い状況で用いられる。てんかんの術前診断で重要な指標とされる皮質脳波(ECoG)をはじめ、近赤外分光法(NIRS)による血液動態計測や、脳表の局所的な温度変化も、局在性のある皮質病態性活動の観測に有用だとされている。そこで本研究では、硬膜下に留置できるほど薄く柔軟で、ECoG、NIRS、温度を多チャンネル同時計測可能なセンサを開発した。ポリイミド製フレキシブル回路基板上に6極のECoG電極、6チャンネルのNIRSを構成する光電子素子群、6個の小型サーミスタを実装した。電子素子は生体適合性シリコーン樹脂で封止した上で...
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Published in | Transactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual57; no. Abstract; p. S217_1 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本生体医工学会
2019
Japanese Society for Medical and Biological Engineering |
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ISSN | 1347-443X 1881-4379 |
DOI | 10.11239/jsmbe.Annual57.S217_1 |
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Summary: | 脳神経外科の臨床において、侵襲的な皮質神経活動の計測が術前、術中から術後に至る幅広い状況で用いられる。てんかんの術前診断で重要な指標とされる皮質脳波(ECoG)をはじめ、近赤外分光法(NIRS)による血液動態計測や、脳表の局所的な温度変化も、局在性のある皮質病態性活動の観測に有用だとされている。そこで本研究では、硬膜下に留置できるほど薄く柔軟で、ECoG、NIRS、温度を多チャンネル同時計測可能なセンサを開発した。ポリイミド製フレキシブル回路基板上に6極のECoG電極、6チャンネルのNIRSを構成する光電子素子群、6個の小型サーミスタを実装した。電子素子は生体適合性シリコーン樹脂で封止した上で、センサ全体をパリレンコーティングすることで2週間に及ぶ頭蓋内への慢性留置に耐える生体適合性を実現している。外形は硬膜下ストリップ電極と同様のため、従来の硬膜下電極留置術と同様の手術手技で留置、計測が可能である。山口大学IRB承認のもと臨床研究を実施し、焦点切除術中のてんかん性病態性脳活動の計測と、術後2週間の留置下での皮質拡延性抑制に付随する病態性活動の計測に成功した。 |
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ISSN: | 1347-443X 1881-4379 |
DOI: | 10.11239/jsmbe.Annual57.S217_1 |