空腸横行結腸瘻を形成した幽門輪温存膵頭十二指腸切除後吻合部潰瘍の1例

症例は63歳,男性.11年前に膵神経内分泌腫瘍に対して幽門輪温存膵頭十二指腸切除術施行の既往がある.6カ月前より黒色便を自覚し,上部消化管内視鏡検査で十二指腸空腸吻合部に潰瘍を認め,プロトンポンプ阻害薬を内服し経過観察されていた.その後,黒色便を伴う下痢および糞臭曖気が出現し,当科を受診した.当科受診時の上部消化管内視鏡検査では吻合部に横行結腸との瘻孔を認め,下部消化管造影検査でも吻合部との交通が確認された.十二指腸空腸横行結腸瘻と診断し,広範囲胃切除を併施する十二指腸空腸吻合部切除・横行結腸楔状切除を行い,残胃と空腸はRoux-en Y法で再建し,横行結腸楔状切除部を縫合閉鎖した.病理組織学...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 82; no. 5; pp. 960 - 964
Main Authors 浜辺, 健太, 菅原, 元, 久留宮, 康浩, 世古口, 英, 井上, 昌也, 加藤, 健宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2021
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Summary:症例は63歳,男性.11年前に膵神経内分泌腫瘍に対して幽門輪温存膵頭十二指腸切除術施行の既往がある.6カ月前より黒色便を自覚し,上部消化管内視鏡検査で十二指腸空腸吻合部に潰瘍を認め,プロトンポンプ阻害薬を内服し経過観察されていた.その後,黒色便を伴う下痢および糞臭曖気が出現し,当科を受診した.当科受診時の上部消化管内視鏡検査では吻合部に横行結腸との瘻孔を認め,下部消化管造影検査でも吻合部との交通が確認された.十二指腸空腸横行結腸瘻と診断し,広範囲胃切除を併施する十二指腸空腸吻合部切除・横行結腸楔状切除を行い,残胃と空腸はRoux-en Y法で再建し,横行結腸楔状切除部を縫合閉鎖した.病理組織学的検査で吻合部潰瘍を認めたものの,腫瘍性病変は認めなかった.術後12カ月現在,潰瘍性病変の再発を認めていない.膵頭十二指腸切除後の吻合部潰瘍を原因とする十二指腸空腸横行結腸瘻の報告は稀である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.82.960