ウェアラブル心拍センサを用いた牛の心拍変動と活動量
人の場合、姿勢が心拍数に影響を及ぼし、体を横にした臥位では体を垂直にした立位や座位よりも心拍数が小さくなる。本研究では牛の姿勢に着目して心拍データの解析を行った。心拍測定は3軸の加速度計と心拍計を備えたウェアブル心拍センサWHS-1(ユニオンツール株式会社)を牛に装着して無人で行い、牛の行動は監視カメラにて観察した。ウェアラブル心拍センサは、電極と配線を備えた帯を牛の胸部の周長方向に巻き、帯の左体側部に取り付けた。電極と配線はフィルム状導電素材COCOMI®(東洋紡株式会社)からなる。 監視カメラでの牛の行動観察では、牛舎内が無人となると牛が臥位となる時間帯が多かった。臥位になると、3軸加速度...
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Published in | 生体医工学 Vol. Annual61; no. Abstract; p. 222_1 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本生体医工学会
2023
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Summary: | 人の場合、姿勢が心拍数に影響を及ぼし、体を横にした臥位では体を垂直にした立位や座位よりも心拍数が小さくなる。本研究では牛の姿勢に着目して心拍データの解析を行った。心拍測定は3軸の加速度計と心拍計を備えたウェアブル心拍センサWHS-1(ユニオンツール株式会社)を牛に装着して無人で行い、牛の行動は監視カメラにて観察した。ウェアラブル心拍センサは、電極と配線を備えた帯を牛の胸部の周長方向に巻き、帯の左体側部に取り付けた。電極と配線はフィルム状導電素材COCOMI®(東洋紡株式会社)からなる。 監視カメラでの牛の行動観察では、牛舎内が無人となると牛が臥位となる時間帯が多かった。臥位になると、3軸加速度の合計が小さくなり、変動も小さくなったことから、3軸加速度の合計と変動から臥位の時間帯を推定した。推定した臥位時間帯の心拍数は、それ以外の時間帯の心拍数よりも小さくなる傾向がみられた。このことから、牛の場合も人のように姿勢が心拍数に影響を及ぼす傾向があることがわかった。牛2頭について、分娩予定日前10日間の推定臥位時間帯の心拍数を分娩約1カ月後と比較すると、分娩前は分娩後よりも心拍数が大きいことが観察された。さらにこのうち1頭について、分娩を誘発させるプロスタグランジンF2α投与後に推定臥位時間帯の心拍数が大きくなる傾向がみられた。今後、データを蓄積することで、牛の高精度な分娩予知システム開発につなげたい。 |
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ISSN: | 1347-443X 1881-4379 |
DOI: | 10.11239/jsmbe.Annual61.222_1 |