関連疾患を考慮した少音読課題の発話解析に基づくパーキンソン病検出

近年,急遽な高齢社会を迎え,パーキンソン病(Parkinson’s Disease: PD)患者の増大が喫緊の課題である.PDは専門医による診断が必要であるものの,高齢者の抵抗感や未自覚により受診が遅れるおそれがあるため,診断を補助するスクリーニングツールが望まれている.本稿ではPD特有の発話症状に着目した音声解析に基づく機械学習を用いたPD簡易検出モデルを提案する. 孤発性非定型パーキンソニズムを含むPD患者106名,健常者94名を対象とした.WAB失語症検査を参考に16種の音読課題の回答音声を録音した.課題ごとに402種の発話特徴量を抽出し,赤池情報規準を指標としたステップワイズ法による特...

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Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual61; no. Abstract; p. 167_1
Main Authors 伊藤, 有生, 渡辺, 宏久, 佐久間, 拓人, 桝田, 道人, 大嶽, れい子, 加藤, 昇平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2023
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual61.167_1

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Summary:近年,急遽な高齢社会を迎え,パーキンソン病(Parkinson’s Disease: PD)患者の増大が喫緊の課題である.PDは専門医による診断が必要であるものの,高齢者の抵抗感や未自覚により受診が遅れるおそれがあるため,診断を補助するスクリーニングツールが望まれている.本稿ではPD特有の発話症状に着目した音声解析に基づく機械学習を用いたPD簡易検出モデルを提案する. 孤発性非定型パーキンソニズムを含むPD患者106名,健常者94名を対象とした.WAB失語症検査を参考に16種の音読課題の回答音声を録音した.課題ごとに402種の発話特徴量を抽出し,赤池情報規準を指標としたステップワイズ法による特徴選択を実施し,SVMによる弱学習器を構築した.弱学習器の判別性能をもとに課題を選択し,少数の音読課題を用いたアンサンブル学習モデルによる性能評価を実施した.結果,「なす」など5種の単語課題が選択され,感度0.91,特異度0.86を得た. WABは医療従事者によって実施されているため,PD特有の発話症状に着目し機械学習を用いて検査の自動化をめざす点で,本研究は独創性が高い.また,16種の音読課題の中から,少数の課題を選択する点で,検査時間の短縮を可能にする.今後は音声サンプル数を増加させるとともに,より豊富な音響・言語特徴を抽出し判別性能の向上を図り,パーキンソン病の簡便なスクリーニングツールを実現する.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual61.167_1