生体内デバイス埋入へ向けたパリレン薄膜に対する抗炎症性分子の修飾

パリレン樹脂は優れた生体適合性から、埋込み型医療機器表面のコーティングに用いられており、その自立膜のフレキシブルさから、埋め込み型フレキシブル電極の絶縁材料としての応用にも期待されている。一方、生体内において免疫応答により周囲に炎症反応および繊維組織が形成されてしまうことが報告されている。そこで本研究では、パリレンに対して抗炎症性分子を化学修飾することで、免疫細胞の活性化を抑制し、生体内埋入後のパリレン周囲に対する繊維組織形成防止を目指した。パリレンに対して酸素プラズマ処理を行うことで表面を活性化後、シランカップリング剤を用いることでパリレン表面にアミノ基を導入したアミノ化パリレンを作製した。...

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Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual62; no. Abstract; p. 307_2
Main Authors 山口, 真澄, 後藤, 東一郎, 水野, 陽介, 酒井, 洸児
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2024
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual62.307_2

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Summary:パリレン樹脂は優れた生体適合性から、埋込み型医療機器表面のコーティングに用いられており、その自立膜のフレキシブルさから、埋め込み型フレキシブル電極の絶縁材料としての応用にも期待されている。一方、生体内において免疫応答により周囲に炎症反応および繊維組織が形成されてしまうことが報告されている。そこで本研究では、パリレンに対して抗炎症性分子を化学修飾することで、免疫細胞の活性化を抑制し、生体内埋入後のパリレン周囲に対する繊維組織形成防止を目指した。パリレンに対して酸素プラズマ処理を行うことで表面を活性化後、シランカップリング剤を用いることでパリレン表面にアミノ基を導入したアミノ化パリレンを作製した。その後、アミノ化パリレンに対して抗酸化・抗炎症作用を有するドコサヘキサエン酸(DHA)をカルボジイミド系縮合剤により修飾した。アミノ基およびDHAの修飾は、フーリエ変換赤外分光法により確認した。DHA修飾パリレンの抗炎症性は、パリレン表面へ播種した活性化ミクログリアを培養することで評価した。DHA修飾パリレンは、プラズマ処理パリレンおよびアミノ化パリレンと比較して、細胞から産生される炎症性サイトカイン量を低減させた。本研究はパリレンコーティングがなされた埋込み型医療機器や埋め込み型フレキシブル電極などに対する有効な免疫応答抑制・繊維組織形成防止への簡便かつ有効な手法として活用が期待される。
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual62.307_2