非直線的な配向制御を用いた括約筋組織の作製

近年,培養した筋組織を用いたアクチュエータの研究が行われており,生体適合性の側面やソフトアクチュエータとしての側面から医療分野・工学分野での応用が期待されている.すでに屈筋や伸筋を備え指の動きを再現したものなどが開発されているものの,生体素材の扱いにくさから未だバイオアクチュエータの種類は少ない.また培養した筋組織は収縮力が弱く,その収縮動作は直線運動への応用に限定されている.そこで本研究では,立体培養で筋線維を揃えることで,従来の平面培養や筋線維を揃えない立体培養よりも実用的なバイオアクチュエータの作製を目指す.そして同時に非直線的な運動を行う括約筋を模倣することでバイオアクチュエータの幅を...

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Published in生体医工学 Vol. Annual61; no. Abstract; p. 238_1
Main Authors 岡安, 悠杜, 下村, 裕哉, 榛葉, 健太, 宮本, 義孝, 八木, 透
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2023
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Summary:近年,培養した筋組織を用いたアクチュエータの研究が行われており,生体適合性の側面やソフトアクチュエータとしての側面から医療分野・工学分野での応用が期待されている.すでに屈筋や伸筋を備え指の動きを再現したものなどが開発されているものの,生体素材の扱いにくさから未だバイオアクチュエータの種類は少ない.また培養した筋組織は収縮力が弱く,その収縮動作は直線運動への応用に限定されている.そこで本研究では,立体培養で筋線維を揃えることで,従来の平面培養や筋線維を揃えない立体培養よりも実用的なバイオアクチュエータの作製を目指す.そして同時に非直線的な運動を行う括約筋を模倣することでバイオアクチュエータの幅を広げることを目標とする.本稿では,培養のための足場に楕円柱状の突起を配置することで筋線維を揃える手法を応用して,円周方向に筋線維を配向させ,括約筋の機構を模倣した.また,孔を縮める動作を用いて物体を把持するアクチュエータを提案し,その前段階としての括約筋組織を作製した.さらに作製した筋組織に電気刺激を与え,足場に突起を配置せずに作製した筋組織よりも孔が収縮することを確認した.これは突起によって筋線維が揃うと同時に,筋組織の培養時の収縮による硬直を防いだためだと考えられる.今後は,筋組織をアクチュエータとして利用するための周辺機構を検討しモジュール化を目指す.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual61.238_1