脳波からの皮質電流推定手法を用いた手指運動によるγ帯域脳波の解析
脳波を用いたBCI(brain-computer interface)の中でも,手足の運動をイメージすることによって生じる大脳感覚運動野の脳活動を検出する運動想起型BCIは,電動車いすなどを直観的に操作できる方法として有望である.運動想起型BCIでは,感覚運動野における体部位局在性を利用し,運動想起時に生じる脳波の周期律動成分(SMR)の応答部位から,想起の対象である身体部位を推定する.従来はSMRの成分としてμ帯域(8~13Hz),β帯域(18~30Hz)が用いられてきた.しかし,本手法で分類できる身体部位は右手,左手,足などに限られ,指のような細かい身体部位の分類はまだ実用段階ではない.昨...
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Published in | Transactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual60; no. Abstract; p. 110_2 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本生体医工学会
2022
Japanese Society for Medical and Biological Engineering |
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ISSN | 1347-443X 1881-4379 |
DOI | 10.11239/jsmbe.Annual60.110_2 |
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Summary: | 脳波を用いたBCI(brain-computer interface)の中でも,手足の運動をイメージすることによって生じる大脳感覚運動野の脳活動を検出する運動想起型BCIは,電動車いすなどを直観的に操作できる方法として有望である.運動想起型BCIでは,感覚運動野における体部位局在性を利用し,運動想起時に生じる脳波の周期律動成分(SMR)の応答部位から,想起の対象である身体部位を推定する.従来はSMRの成分としてμ帯域(8~13Hz),β帯域(18~30Hz)が用いられてきた.しかし,本手法で分類できる身体部位は右手,左手,足などに限られ,指のような細かい身体部位の分類はまだ実用段階ではない.昨今の研究により,High gamma帯域(HG,70Hz以上)のSMRは,その脳内信号源がμ帯域,β帯域のSMRに比べて局在的であることが示唆された.そのため,HG帯域のSMRを検出対象とすることで身体部位の詳細な推定が容易になる可能性がある.また,HG帯域はμ帯域,β帯域に比べて高い周波数であるため,比較的短時間で周波数解析が可能となり,速い応答検出が可能であるという利点もある.そこで本研究では,HG帯域を用いた運動想起型BCIのための基礎研究として,右および左示指の伸展運動の際に観測されるHG帯域SMRの応答を観察した.表面脳波から皮質電流を推定し,大脳運動野の手指の責任部位で生じるHG帯域SMRの時間的変化とその空間分布を詳細に観測した. |
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ISSN: | 1347-443X 1881-4379 |
DOI: | 10.11239/jsmbe.Annual60.110_2 |